龍平は一人でエレベーターに進み、壁にある上マークのボタンを押した。
そして、振り返って、俺に向かって右手の親指を立ててニコッとした。
俺も右手の親指を立て、それに答えて頷いた。
看護婦さんは、“オヤスミの挨拶”が終わったと判断して俺に言った。
「 じゃ、行くわよ!」
「 うん。」
俺は諦めて病室に戻るしかなかった。
看護婦さんは俺の車椅子の向きをクルッと変えた。
そして、車椅子の後ろを押しながら3階の通路をトイレに進む。
俺は車椅子に座ったままで、体を捻って後ろを見ることは出来なかった。
後ろで、“チーン”とエレベーターが到着する音がした。
龍平はエレベーターに乗り込んで屋上に行くだろう。
「 あっ!」
「 どうしたの?」
「 いや、ちょっと思い出したことがあって・・・。」
「 何を?」
俺はこの場を誤魔化した。
「 いいです。
明日でも出来ることだし・・・・。」
「 そう・・・?」
でも、俺は心の中で“シマッタ”と思ったのだ。
“ 龍平にお守りを渡しておくべきだった!”
追い駆けて行った龍平が、無事に帰って来れるとは限らない。
でも、もう手遅れだ。
看護婦さんに“持って行け”とも頼めない。
成り行きは龍平に任せるしかない。
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そして、振り返って、俺に向かって右手の親指を立ててニコッとした。
俺も右手の親指を立て、それに答えて頷いた。
看護婦さんは、“オヤスミの挨拶”が終わったと判断して俺に言った。
「 じゃ、行くわよ!」
「 うん。」
俺は諦めて病室に戻るしかなかった。
看護婦さんは俺の車椅子の向きをクルッと変えた。
そして、車椅子の後ろを押しながら3階の通路をトイレに進む。
俺は車椅子に座ったままで、体を捻って後ろを見ることは出来なかった。
後ろで、“チーン”とエレベーターが到着する音がした。
龍平はエレベーターに乗り込んで屋上に行くだろう。
「 あっ!」
「 どうしたの?」
「 いや、ちょっと思い出したことがあって・・・。」
「 何を?」
俺はこの場を誤魔化した。
「 いいです。
明日でも出来ることだし・・・・。」
「 そう・・・?」
でも、俺は心の中で“シマッタ”と思ったのだ。
“ 龍平にお守りを渡しておくべきだった!”
追い駆けて行った龍平が、無事に帰って来れるとは限らない。
でも、もう手遅れだ。
看護婦さんに“持って行け”とも頼めない。
成り行きは龍平に任せるしかない。
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