日々の恐怖 10月26日 私の話(11)
当時は民主党政権で公共工事を減らすとかで、土建屋も不景気だった。
「 まあ、仕事が減ったのは確かだけど、それだけじゃないんだけよね・・・。」
と色々俺に話してくれた。
詳細は書かないが、仕事以外にも色々な案件が重なった事が原因らしい。
そんな話をしていると、今俺がいる部屋の窓から、
” コンコン・・・。”
と、窓をノックする様な音が聞こえた。
2~3回聞こえたので、虫か何か窓にぶつかっているのかなと最初は思っていたのだが、よく考えると夜なので窓はサッシをしてあるから、窓に虫がぶつかるわけがない。
” う~ん・・・、いったいこの音は何だろう・・・?”
と考えながら電話をしていると、社長の自殺の話になると音がするのに気がついた。
” あ~、これ、社長がこっちに来てるなぁ・・・。”
と考えた俺は事務長に、
「 もう社長の話は、やめた方がいいです。」
「 何故・・・?」
「 おそらく、社長がうちに来てる・・・。」
口調が変わった事に気付いた事務長は、
「 わかった、じゃあ、お休み・・・。」
と言って電話を切った。
すると、窓からのノック音は聞こえなくなった。
次の日、朝のお勤めで社長の冥福を祈った。
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