日々の恐怖 4月18日 下流(2)
友人は、
” 見つかる前に医者が到着してしまったか・・・・。
先輩に、いびられないといいけど・・・・・・。”
と思いながら、車一台通れるくらいの小さな橋をくぐって下流へいくと、草むらの中に欠損した足を見つけた。
「 すみませんねえ!」
医者の声に、
「 いえいえ、どうもありがとうございます!」
と言い、川からあがった。
すると、医者がいない。
” 向こうと合流したのか・・・?”
と思い部位を持っていくと、医者はまだ着いてないとのことだった。
友人はもしやと思い、死体の持ち物から免許を見せてもらった。
暗くてよく見えなかったが、眼鏡をかけた男だった。
” 似てるわ・・・・。”
医者は明るくなってからようやく来たが、その後、家族などと連絡を取り、調べて行くうちに、自殺者が薬品販売の営業マンと言うことが分かった。
開発畑から営業に回され、厳しいノルマでノイローゼ気味だったらしい。
遺族にこの体験を話すと、本人は医者志望だったようで、
「 白衣の方が良かったな~。」
と口癖の様に言っていたそうだ。
友人は、
「 医者と見間違えた白衣の男は、白衣を着ていたかった自殺者だったのかもなぁ・・・・。」
と、俺に向かって言った。
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