日々の恐怖 11月5日 実は私です(5)
高校の時、部活(天文部)の一環で、夜間に自宅周辺から流星群の観測をするというのがあった。
近所にある古墳の周辺は街灯もなくベストポジションだったので、23時頃そこへ向かった。
寒かったので当時流行っていたロングコート(赤)を姉から借り、白いマフラーを首にぐるぐる巻き、しかもその頃はメーテル並みに長かった髪を束ねないままの格好だった。
しばらく観測していると、走り屋の皆さんが古墳前の広場に集合し始めた。
“ 見つかったらイヤだな・・・・。”
と思い、広場から見えない場所に移動したのだが、そのとき、
「 あ!なんか女がいた!」
と一人が叫んだ。
すると、
「 俺も見た!
長い髪で、首にロープ巻いていた!」
「 真っ赤だったぞ、あれ血じゃないか!?」
とか口々に叫び出し、
「 ・・・幽霊!?」
という言葉で、全員悲鳴を上げて逃げていった。
後日、その古墳には首つりをして全身を血に染めた女の幽霊が出る、と言われるようになった。
あれから二十年以上。
小学校に入学した子供が、
「 お母さん!
あの古墳に血染めの首つり女の幽霊が出るって!
見たら呪われるって!」
と青い顔して教えてくれた。
「 息子よ、それは私だ!」
とは言えなかった。
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