日々の恐怖 8月9日 夜が来たから(5)
冷蔵庫から飲み物を出してると、携帯が鳴ったんです。
出てみると地元にいる母でした。
「 あ、お母さん、どしたの、こんな時間に・・・・?」
実家は夜が早くて、ふつうはもう寝てる時間なんです。
母はいつもののんびりした声で、
「 お父さんの具合が悪くってねえ・・・・。」
「 え?どういうこと・・・・?」
変なことを言うなあと思いました。
私の父は4年前に病気で亡くなってて、母は、実家で兄の家族と同居してるんです。
「 お父さんて、どういうこと・・?」
そしたら少し沈黙があって、
「 そっちは停電してないのかい?」
って。
「 何言ってるのよお母さん、私のとことそっち、すごく離れてるじゃない。
お母さんのほう、停電なの?」
「 そうかい、停電じゃないのかい・・・。
じゃあ、夜が来るよ。」
そこで電話は切れました。
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