大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

日々の恐怖 4月30日 白狐(10)

2023-04-30 20:53:59 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 4月30日 白狐(10)






 巫女さんは処女が務めるものだと思っていたし、生贄なんかも基本は生娘という知識があった。
処女じゃなくとも清廉潔白な人間が、神仏と関わるものだと。
 当時の仕事も清らかなものではないし、生活は自堕落極まりない。
欲望と損得勘定で成形された私に、神様が付くとは到底信じられなかった。
 小豆さんに、

「 情を寄せたからだよ。
綺麗、悲しい、寂しい、悔しいってそのお狐さんに向けて長年情を寄せた。
そこまで思われて悪く思う神さんはいない。」

と言われた。

「 それなら、他の神社とかには余り行かない方がいいんですかね?」
「 日本の神さんは結構大雑把だから大丈夫だよ。
でも大雑把で大らかだけど基本は嫉妬深いものだから、他所に信仰を向けるのはやめた方がいいと思う。」
「 そういうもんですか。」
「 君のお狐さんは、君と色んな所に行くのを楽しんでるように思う。」

その時点で日本中色々なところに行っていた。
そのすべてが同伴状態だったと思うと、なんだか少し恥ずかしくなってくる。
 小豆さんに霊感があるのか聞いてみたけれど、

「 見える事も感じる事もないよ。
ただそう思うんだ。
その感覚はあんまり疑わないようにしてるだけ。」

と返された。
 確かに小豆さんは見えるとかそういう言葉を使っていなかった。
一貫して、思うだった。









童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日々の恐怖 4月25日 白... | トップ | 日々の恐怖 5月3日 白狐... »
最新の画像もっと見る

B,日々の恐怖」カテゴリの最新記事