日々の恐怖 12月24日 病院の夜の巡回
前勤めてた病院での話です。
夜中に巡回してたら、二人部屋からうなり声がした。
二人部屋の一人は入院したてで症状が重く、全然意識のないおじさんA。
もう一人も時々弱くうなるだけで、1ヶ月ずっと夢の中にいる寝たきりのおじいちゃんB。
” Bさんがうなったのかな?”
と思い訪室すると、寝たきりのはずのBさんのベッドが空だった。
” えっ?”
と思って部屋を見回し、巡らせた目が真後ろの開いたドアをとらえた時、 廊下の光を背にして立つガリガリのBさんがいた。
点滴抜いて左半身血まみれだ。
あごが外れるくらい口を開いて、目は前方斜め上を見ている。
” えっ、えっ、なにこれ?”
と混乱していたらBさん、
「 ぅうぅうううおおおーー!」
と雄叫びとともに、両手を横に広げて倒れ込んできた。
突然のことに私は悲鳴を上げてしりもちをつき、しかし覆い被さるBさんがケガしないように必死で抱きかかえながら、
必死にもがいて振り向いたら、 意識のないはずのAさんが首だけこっち向けて、充血した目をカッと見開いて笑っていた。
吐いた。
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