日々の恐怖 5月7日 ワイの話(12)
それから数日後に親戚でも無い、ワイが覚えている限り、まったく知らない見たことも無いおばさんが祖父母の家に来た。
マッマはワイに、その人はバッバが頼って呼んだ“拝み屋さん”だと説明してくれた。
これからマッマとバッバがその拝み屋さんと話すから、寝ている妹を見てて欲しいとワイは頼まれたが、ワイも話を聞きたいとゴネゴネとゴネて、その話に同席した。
拝み屋さんは、寝ている妹をしばらく、
“ ジッ。”
と見つめた。
そして、拝み屋さんは、順に話し始めた。
「 ○○(妹)ちゃんは優しくて、周りの良くないモノから頼られてしまう。」
「 昔、犬を飼ってましたね?」
「 ちょっと前までは、その子が妹ちゃんを良くないモノから守っていた様だけど・・・。」
「 今は家が変わって、その子が妹ちゃんから離れてしまったみたい。」
「 それで、学校にいる良くないモノが妹ちゃんに近寄る様になって、妹ちゃんは怖がっているようね。」
ワイは驚いたと同時に小さいながらも直感的に、
“ あぁ、この人は本物だ。”
と直ぐに感じた。
もちろん、マッマもバッバも今日がこのおばさんとは初対面で、以前の家で犬を飼っていた事を、この人は知るはずもない。
ポチ(仮名)は妹が小学校に上がる前に死んでしまったが、老衰で立てなくなるまでワイと妹が、ほぼ毎日散歩に連れて行っていた。
特に妹はポチを可愛がっていて、ポチも妹の姿を見ると、
“ ブンブン。”
と尻尾を振って喜んでいたのをワイは覚えている。
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