大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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☆(  しづめばこ P574 )                          

しづめばこ 6月8日 P374

2015-06-08 18:18:34 | C,しづめばこ


しづめばこ 6月8日 P374  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


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日々の恐怖 6月7日 イカを釣る

2015-06-07 11:20:16 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 6月7日 イカを釣る



 今30の俺が小学生だった頃の話です。
夏休みの夜はしょっちゅう親父とイカ釣りに行っていた。
 夜8時ぐらいから釣りを始めて、夜11時ごろには家に帰って、釣果のイカを砂糖醤油で甘辛く焼いて食べるのだ。
俺は親父とイカ釣りに行くのが大好きだった。
 釣り場は近所の港にある、沖に向かって伸びる堤防だった。
子供の体感的には長さ500mぐらいあったと思うが、今見たらもっと短いかもしれない。
堤防の途中には『進入禁止』と書かれたフェンスがあったけど、フェンスはちょうど堤防分の幅しかなかったから、横から簡単に越えられた。
その先が俺らの釣り場だった。
 夜まで起きていて良い&ほんとは入っちゃいけないところに入れるという非日常感に、当時の俺はワクワクしてしょうがなかった。
親父は『お前を連れてくると良く釣れるんだ』と言って笑ってくれた。
何の根拠もないけど、子供ながらに誇らしく嬉しいもんだった。
 ある夜のこと、その日も親父に連れられてイカ釣りに向かった。
軽トラで田舎の県道を20分ほど走って、いつものさびれた漁港に入っていった。
水銀灯のオレンジの光で港はぼうっと照らされていたけど、堤防の方向は明りもなく暗かった。
 軽トラを駐車して、堤防に向かった。
暗いけど、月明りでなんとなく周囲は見えた。
堤防を進む間、波がパコパコと堤防の下を叩いて、フナムシがサワサワと散っていく。
分かる人には分かるだろうか。たまんない非日常感である。
 堤防には誰もいなかった。
親父はイカ釣りに使う疑似餌を糸に付け、俺に竿を持たせキャスト(投げる)させてくれた。
俺はすぐに海底に疑似餌を引っかけるもんだから、俺の役割はキャストだけで、巻き取るのは親父だった。
 俺が投げ、親父が巻く。たまにイカがかかると俺に竿を持たせてくれる。
そんな釣りをしていた。
 そうこうしてイカが2匹釣れた頃、

「 ラジオ忘れた、車からラジオ持ってくる。」

親父が言い、海に落ちるから歩き回るなよと強く言い含められた。
竿を預けられた俺は、任せろと言わんばかりの態度で親父を見送った。
 しばらく経って、ぼけーっと寝っ転がって星空を見ていた俺は、視界にチラつく明りと足音に気付いた。

“ 親父かぁ~?思ったより早いな~。”

と思いながら向き直ると、顔をライトで照らされた。

「 釣れるの?」

冴えない風貌の若い男が2人立っていた。
太った男とガリガリの男だった。

「 2ひき釣れた。」
「 いいね、釣れてんだ。見せて。」
「 凄い、大きいじゃん。」
「 うわ~~~凄い。」
「 生きてる生きてる。」

 何と言えばいいのだろう、妙に距離感が近い。
二人とも妙に距離感を詰めてくる、俺が苦手なタイプだ。
二人組はクーラーボックスに入ったイカをべたべた無遠慮に触って、わぁわぁ騒いでいた。
 俺は、

“ お前ら誰だよ、触ってんじゃねえよ!”

と子供ながらに内心イラついていた。
 ひとしきり騒いだ後、

「 で、誰が釣ったの?」

太った男が聞いてきた時だった。

「 どうも!!!」

妙に元気の良い答えが聞こえてきた。
 予想外なことに、声の主は親父だった。
ラジオを持った笑顔の親父が二人組の後ろにいた。

「 いやぁ、このイカ、元気良いんです。
良かったら貰って下さい。」

親父はきらきらの笑顔で二人組にイカを渡しにかかった。

“ 俺の親父って、こんなにハキハキしたタイプだったかな?”

確かに営業職ではあったけど、

「 まあまあ、おいしいですから、どうぞ。
刺身もいいんですよね~。」
「 いや~、悪いですよ~。」
「 ねえ・・・・。」

と話す二人に、親父は白いビニール袋にイカを入れて持たせた。

「 いいんですよ。
あ、今、ホラ、ちょうど港に車が入って来たでしょう。
あれ友人なんですけど、あいつからイカ貰えることになってますんで、ホント、どーぞ、どーぞ。」

確かにちょうど港に入ってくるヘッドライトが見えた。

「 そうですか・・。」
「 じゃあ悪いけど・・。」

二人組はイカの袋をぶら下げて、海に向かって煙草を吸いだした。

「 ではこれで、いったん向こうに失礼しまっす!!!」

若造に愛想良く敬礼まで繰り出した親父は、釣り具をまとめ俺の手を引いて、港に向かって歩きだした。

“ ああ俺のイカが・・・、砂糖醤油が・・・、おやじぃ~~~。”

と異議を申し立てた表情をしてみたものの、親父はそっぽを向いていた。
 フェンスを越え、港に戻ると、親父は入って来たその車に駆け寄り、運転手のオッサンと何事か話すと、その車はぐるっと引き返して港から出て行ってしまった。

“ イカもらうんじゃねーのかよ、おやじぃ~~。”

とブータレ顔の俺は親父に促され、軽トラに乗りこむと、俺たちも港から出てしまった。

“ おいっ、どういうつもりなんだぁ~?”

と聞こうとする俺に親父は謝りだした。

「 すまん。本当にすまん。
俺が甘かったんだ、俺が。
もう釣りはやめような。
もっと昼間に遊ぼう。
ごめんなぁ、ごめんなぁ・・。」

親父は目に涙を浮かべていた。
さっきの笑顔との落差に俺は何も言えなくなってしまった。
 親父が語ってくれた。

“ さっきの車のオッサンは、偶然通りかかった他人で友人でも何でもないこと。
オッサンには、堤防に行かず帰るように促したこと。
二人組は、釣り道具を何も持っていなかったこと。
太った男の方が黒いバットを後ろに持っていたこと。
そして、最近、港近辺で金品絡みの暴行事件があったこと。”

それ以来、親父と釣りに行っていない。










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しづめばこ 6月6日 P373

2015-06-06 20:24:02 | C,しづめばこ


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日々の恐怖 6月5日 ミミズ

2015-06-05 20:05:53 | B,日々の恐怖


   日々の恐怖 6月5日 ミミズ


 この間、居酒屋で会社の同僚数人と飲んでいた。
掘りごたつ式になった座敷があって、衝立で他のグループと仕切られているような所だ。
時間は9時頃で、それまで生ビールを大ジョッキ3杯にあと酎ハイをかなり飲んでたから、もしかしたら酔っぱらって幻覚を見たのかもしれない。
 トイレに行こうとして通路で靴をはいたときに、俺らの右隣で衝立越しに飲んでたやつらの様子がたまたま目に入ったんだが、なんか違和感がある。
何だろうと思ってよく目をこらしてみたら、テーブルの端に一人だけ色の濃い人がいて奇妙なことをやっている。
 濃い人、というのがうまく説明できないんだが、そいつだけ回りの人や調度類よりくっきりはっきりしてて浮かび上がって見える。
画像の加工をやったことがある人ならわかるかもしれないけど、その人物の輪郭を指定して彩度を上げ、シャープをかけたような具合だった。
 そいつは50代くらいの男で、染めたと思われる黒々した髪を真ん中分けして、最近はまったく見なくなった黒縁のメガネをかけている。
服装はかなりくたびれて皺のよった濃紺のスーツ上下で、これも今時見ない黒の腕ぬきを両腕につけている。
バラエティのギャグシーンに出てくる田舎の分校の先生といえば合点がいくだろうか。
 それから奇妙なことというのは、左のてのひらを広げて上に向けその上に懐紙が載っていて、さらにその上で何か妙なものが動いている。
15cmくらいの長さのミミズ、それも白っぽいカブトムシの幼虫のような色のミミズが数匹のたくっていて、それを右手の箸でつまんでは、隣の40過ぎくらいの茶色の背広のカッパハゲのサラリーマンの襟首から背中に落としている。
 そんなことをされたらたまらないと思うが、サラリーマンはされるがままで、その男の行為自体気がついていないように見える。
俺は数分、その様子をあっけにとられて見ていたが、そのうち虫を入れている男と目が合った。
 すると男は箸を置いて人差し指を口の前にあて、俺に向かって子供のやる“しーっ”のポーズをしてみせた。
それでばつが悪くなって俺はトイレに行ったが、戻ってきてみると男はいなくなっていた。
 そのグループのテーブルを見ても、男のいた場所に料理の皿はなかったから、さっきのをほんとうに見たのか自分でも怪しくなってきた。
 俺らはその後二次会でカラオケに行き、それでも終電に間に合うように11時過ぎには解散して、俺は皆と別れて最寄りの駅に行った。
この界隈は飲み屋が多いんで、こんな時間でも乗客はそこそこいたが、電車を待っていると、ホームのすぐ近くで騒ぎがあった。
 サラリーマンらしい男3人がもつれ合っているが、どうやら2人で1人の上着を引っ張ってるようだ。
よく見るとさっき居酒屋で隣にいたグループに似ている。

“ 上着を引っ張られているのは、変な男に背中に虫を入れられていた男じゃないか・・?ハゲ具合がそっくり・・・。”

 そう思っているうちに快速がホームに走り込んできて、上着を引っ張られていた男は全身の力をこめて両腕をぶんまわし、2人の男を振り切ってその電車に飛び込んだ。









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日々の恐怖 6月3日 数珠

2015-06-04 10:44:19 | B,日々の恐怖




    日々の恐怖 6月3日 数珠




 お寺生まれのお寺育ち、近所の家はだいたい檀家、若いくせにいっちょまえに住職なんぞをしております。
自分の体験、親しい先輩僧侶の話でもそうでしたが、どうもお寺の怪談には音に関係するものが多いようで、これは先輩の先輩、Hさんという僧侶から聞いたお話です。

 H先輩はお年が40手前、関東の大きなお寺の次男として生まれました。
私達の所属する宗派の経営する大学で、長らく事務員を務めたのち、跡取りのいないお寺から、住職にならないか?とお呼びがかかり、そうしてやってきたのが私も住むこの片田舎です。
私の住むところからは車で1時間ほど、そこそこ発展した地域にあり、なんと本堂は新築です。
 新しく若い住職さんが来られるのだから、本堂も新しい立派なものを・・・と、檀家さん一同でお金を出し合って建てられたとのことです。
こうした思いにいたく心を動かされたH先輩は、住職になられてそれは一生懸命勤めを果たしていました。
近隣の若い僧侶が定期的に集い、色んな情報交換を目的とした勉強会を発案したのもこのH先輩です。

 そんなある勉強会の折、本堂の内陣について解説をしてくれていた際に変わったものを見つけました。
維那と呼ばれる、勤行の最中に大きな鐘や大きな木魚を叩く鳴り物担当の人が座る席があります。
そのすぐ横に、とぐろを巻いた大きな数珠が鎮座していました。
 維那というのは儀式の最中に内陣、外陣の動きを見て、タイミングに合わせて儀式を進行するいわば指揮者兼演奏者のポジションです。
リードギターとかコンマスみたいなもんです。
じゃあさしずめ導師はリードボーカルと言ったところです。
 維那席は自然と本堂でも中心に近く、なおかつ本堂のどこからでもそこが見える位置になっています。
そんなところに巨大な数珠 いわゆる百万遍数珠といわれるものが置いてある。

 この百万遍数珠、京都のとある有名なお寺に由来します。
鎌倉末期に京都に蔓延した疫病を、このお寺の住職が百万回の念仏によって鎮めたことから、

「 一人より、みんなで念仏すれば、いっぱい称えられるじゃーん!」

という、ちょっとしたイベントごととして広まりました。
 赤子の頭ほどもある珠が繋がれた、大きな数珠を大勢で輪になってぐーるぐーると回すのです。
 お念仏の数を重ねるごとに、どんどんその速度は増し、やがて隣に引っ張られているような錯覚に陥ります。
いつ終わるともしれない念仏と共に、何度も何度も。
 そうして妙な達成感とともにその数珠から手を離すと、一緒に数珠を繰った人たちとの、えもいわれぬ一体感が生まれます。 
機会があれば一度体験されてはいかがでしょうか。

「 H先輩これって・・・・。」

別に、目玉が飛び出るほど高価なものではない。
置き場所に困ることこそあれ、どこの寺院にもありうるものです。
 思わずしげしげと眺めてしまったのは、そのインパクトです。 
なんというか時代がついている。
 とぐろを巻く、という表現がしっくりくるほど、ぐるりと段々に重ねられ、親玉と呼ばれる一際大きな珠がてっぺんに載っている。
そこからちょろりと紐が覗き、なんとも蛇が舌を出したような塩梅になっている。

「 知人からの頂き物でね、普段はこっちしか使わない。」

そう指差す先には、ひとまわり小さな百万遍数珠が無造作に置かれている。
無地のツゲでできた、ありふれたものだ。
 だがこっちはどうだろう、茶色のような、赤紫のような、鈍く光沢を放ち、一見それが木なのかどうか分からなかった。
触れてみると多分、木。 
ひんやりとしてほんのり重たい。 
何が塗ってあるんだろう?

「 あんまり重いから繰るのに疲れちゃってね、かといって仕舞っておくのも悪いし・・・。」

 伺ってみると、大学で勤めていた時に知り合った海外のお坊さんからのプレゼントらしい。
来日して大学に寄られた際、お世話をする役になり、色々と話をする内に、

「 今度住職になるんです。」

と言っていたのを覚えていてくれたそうな。

「 でかくて重たい木の箱が届いてさ、壷でも入ってんのかと思ったら、数珠の珠がぎっしり。」

これを1個1個、自分で紐を通して数珠にしたのか。
考えただけでもけっこうな労力です。

「 珍しいですね~。」

と自分も含めて数人で眺めていたら、H先輩が照れ笑いのような、苦笑いのような、微妙な顔で、

「 珍しいんだよ。」

と呟いた
 それが何とも印象的で、何か困ってるのかと思い、勉強会がお開きとなって後片付けを手伝いながら聞いてみた。

「 あの数珠がさ、泣くんだよ。」

最初はそう聞こえた。 
色々言葉をやり取りしてみて、なんとなく合点がいった。

「 音が鳴るんですか?」

 それでもよく分からない。 
木の珠に紐を通したものだ。
音が鳴るならコツリ、とかカチャリ、とか 想像の限りを尽くしても、そんな音だろう。
だけど先輩は首をひねった。

「 鳥の声に近いかな、最初は子犬とか子猫かとも思った。」

野良犬や野良猫の類はお寺の境内によくいるもんだ。 
最初はそう思ってたそうな。

「 いつも聞こえるのは夜だしね、でも犬猫にしては季節を選ばないし、鳥なんか鳴く時間でもないし・・・・。」

 寝泊りする庫裏にまでは聞こえないのだけど、火の元や電気を確認しに、夜中に本堂を訪れると聞こえるのだそうだ。
ヒューともピューともつかない、か細くて高い音が本堂の隅から断続的に聞こえる。
 風の抜ける音にしては新築の本堂にはそぐわない。 
電気系統かとも思い、ブレーカーを落としても止まない。
床下からか?
いいや、明らかに本堂内だ。
それも維那席から。

「 音の出所は分かるけど、原因が分からない。
数珠を持ち上げてみたら止まるんだよ。
それで元に戻して、しばらくすると鳴る。」
「 ただの木ですよね。」
「 ただの木なんだよ。」

 被害なんて大げさなものじゃないから、放っておいてるそうだけれど、溜め息とともに煙草の煙を吐く先輩は、なんだか疲れてそうだった。
根掘り葉掘り聞くのも悪いし、かといって自分で確かめる勇気はどうだろう。
 野次馬根性を出して面白がるのも、真面目な先輩に対して失礼な気がして、後味が悪いまま退散しました。
 すっかり暗くなって灯りのない境内を歩き、本堂に向かって手を合わせて車に戻ったら、遠くのほうで赤ちゃんが泣いている声を聞いた気がした。

「 ピューイ・・。」

と鳴いて遠ざかるシジュウカラのようでもあった。










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日々の恐怖 6月1日 でかい眼

2015-06-01 18:35:36 | B,日々の恐怖


   日々の恐怖 6月1日 でかい眼


 俺の家は二世帯住宅みたいな感じで、下に父方のじいちゃんばあちゃんが住んでいる。
小学校の頃なんかは、帰ったら二人に今日あったことなんかをずっと話してたもんだけど、大学生とかになると家に帰らなかったり、すぐに二階の自分の部屋に籠っちゃったりで、2、3日か、下手すると5日くらい二人と会わない状態が続いた。
 それで、大学4回の時に初めて内定を貰って、久し振りに二人と腰据えて話そうかと思ったんだ。

“ 何かと、めでたいときは理由付けてお小遣い貰ってたからなァ・・。”

そう思いながら、炬燵入ってテレビ見てるじいちゃんとこに行った。
 そこでふと違和感に気付いた。
テレビ台のガラス扉の裏側、そこにでっかい眼が画用紙に描かれて貼ってある。
 その時は、それについて話すタイミングを失ったけど、まじで異様過ぎて触れられ無かった。

“ 二人ともカルトにハマるような人でもないし・・・”

と、暫くは見なかったことにしてたんだが、この眼の絵が一階の至るところに出てくるようになった。
じいちゃんの枕元や洗面所、テーブル敷きの下とか。
 実害は無いのに言い知れぬ恐怖を感じた。
それで、たまたま早く帰れたある日、じいちゃんがカレンダーの裏にでかい眼を描いてた。
俺は意を決して、

「 何してるんだ?」

と聞いた。
すると、

「 目薬さすのを忘れないように・・・。」

と言った。
一気に肩の力が抜けたよ。
 多分皆バカじゃね~の、とか思うだろうけど、当時は本当に怖かったんだよ。
因みにこの習慣は、遊びに来た姪がどうしても泣くのでやめたらしい。












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