大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 11月7日 正月は暇(5)

2016-11-07 18:03:17 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 11月7日 正月は暇(5)




 時間も時間だからフロントの人も訝しがって、

「 何かありましたか?」

と尋ねてきたが、

「 後で話します。」

と伝えて電話を切った。
 怖かったが、寝汗が凄かったのでシャワーを浴びることにした。
それも、さすがに怖くなってきたので、ドア開けたまま。
それに、目も開けたまま。
 そそくさと退室準備をしながら伯母さんに電話した。
一部始終を伝えながら荷物の整理。
4時を回ったのかな。
外が若干明るくなってきた。
 その時、ベッドの左横の壁に異変を感じた。
四角い跡が三つある。
全部違う大きさ。
 最初は、

“ 絵画の跡かな?”

と思ったが位置が低すぎる。
 触るとその部分だけ壁が薄い。
直感的に、

“ コレだ!”

と思った。
 怖いので伯母さんと通話しながら、

「 伯母さん、多分コレだ。
変な跡がある。
今からカメラで写真撮るから、後で見てくれ。」

とドキドキしていた。
 伯母さんは、

「 そんな事怖いから早く帰ってきなさいよ!」

と進言してくれたが、俺はカメラを構え撮影準備に入った。
 冷静だったと思う。
が、何度シャッターを押してもカメラが反応しない。

“ おかしい・・・・?”

急に怖くなってフロントまでダッシュした。
 フロントのお姉さんに事情を説明した。
奥から年配の男性スタッフも出て来て、事情を説明した。
 冗談で、

「 すみません。
部屋に携帯忘れたので取りにいって貰えませんか?」

とお願いすると、女性スタッフは、

「 いやーーーー!」

とプロ失格の反応だったので笑った。
 タクシーに乗り込み、運転手さんと昨日からのあらましをお話した。
5000円くらいの距離を埋めるには最適だと思ったし、興奮していたから。
 そこで運転手さんが鋭い一言。

「 お客さん、ソレ、昨日親父さんが壊しちゃったんじゃないですか?」

それはあり得る。
 と言うことでバッグからカメラを取り出し、運転手さんの後頭部を撮影した。
一発で下りるシャッター。
まばゆいフラッシュ。

「 ・・・・・・・・・。」

 あれからネットで、あのホテルのことを調べた。
数個の悪い噂が載っていた。
もう宿泊することは無いだろう。
それにしても、あのオッサンは誰なんだろう?













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日々の恐怖 11月6日 正月は暇(4)

2016-11-06 22:00:00 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 11月6日 正月は暇(4)




 それから数時間経過しただろうか、ハッと目が覚めた。
しかし、身体が動かない。
またもや、グン、グン、と足下が凹む。

“ 絶対足踏みしてる・・・。”

と確信した。
 声にならない声で、

“ しつけーよコラ、なんなんだよテメーは!”

とシカトして寝た。
部屋が異様に寒かったのを覚えている。
 さらに数時間後、また目が覚めた。
今度はあり得ないくらい激しく足下が揺れていた。

“ さすがにヤバいか、コレ?”

と思った瞬間、知らない作業着のオッサンが、

「 ううううううう・・・。」

と地鳴りのような声を上げて、四つん這いでせり上がってきた。
 その声はどんどん大きくなり俺を覆い被さるような状態になり、俺の顔に近づいてきたときは、

「 う、う、う、お、お、お、お、あ、あ、あ、あ・・・・・。」

と言う大きな声になっていた。
 かなりビビったが、何度も眠りを邪魔された怒りの方が大きくて、

「 うるせーよ、クソッ!!!」

って感じで跳ね起きた。
 一瞬でオッサンは壁に消えた。
時計をみたら3:30過ぎだった。
 速攻フロントに電話をした。

「 帰るからタクシー呼んで下さい。」












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日々の恐怖 11月5日 正月は暇(3)

2016-11-05 18:00:00 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 11月5日 正月は暇(3)




 タクシーが迎えに来て、引き止める叔母さんを振り払い、タクシーに乗り込んだ。
宿泊先のホテル情報はタクシー運転手さんに伝わっており、俺はカメラをふきふきしながら、後部座席でムカムカ怒っていた。
だいぶ酔っていたので柔らかい足回りのタクシーは殊の外酔った。
 ホテル到着後、さっさと部屋に通して貰った。
ここのホテルは満室だったのだが、無理を言ったので予備の部屋のようであった。
 部屋は細長く狭い。
ドアをあけてすぐ左手にシャワーとトイレ。
その先、左手にシングルベッド。
右手には鏡。
突き当たりに窓、といったレイアウト。
 入った瞬間気持ち悪かったが、正月ということもあり代わりのホテルは無い。
なんにせよムカついていたし、馬鹿らしかったし、疲れていたので速攻ベッドで横になった。
 思ったより酔っていたようで、すぐに睡魔が襲って来た。
それとほぼ同時に、耳鳴りと金縛り。
 俺は、

“ 来たか・・・。”

と思った。
過去に何度か怪しい経験をしているので、そんなに慌てなかった。
 金縛りは2種類あると勝手に思い込んでいるのだが、大概は身体の疲れから来るものだと思っていた。
当然、悪夢と幻覚は付いて来る。
 その金縛りの最中、足下に誰かがいた。
人数は分からない。
ただ、俺の足下で俺の脚を踏まないように、足踏みしているか、歩いているか分からないのだが、ベッドがグン、グン、と凹む。
 どうせ幻覚だと思ったし、怒りモードの俺は、

「 うるせーよ!どっかいけよ!」

と怒鳴り付けた。
するとソレはピタっと止まり、俺は眠りについた。











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しづめばこ 11月4日 P459

2016-11-04 19:50:25 | C,しづめばこ



 しづめばこ 11月4日 P459  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。



小説“しづめばこ”は読み易いようにbook形式になっています。
下記のリンクに入ってください。
小説“しづめばこ”



大峰正楓の小説書庫です。
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日々の恐怖 11月3日 正月は暇(2)

2016-11-03 20:04:57 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 11月3日 正月は暇(2)




 親父は俺のカメラを取り上げ、パシャパシャ撮って楽しんでいた。

「 先輩から貰ったもんだから、悪戯すんなよ。」

と忠告した俺が馬鹿だった。
 そんなことを言われるとウチの親父は燃える。
案の定、鍋にレンズのフタを入れて煮込み出したり、わざと落下させたりし出した。
 最初は俺も笑っていたがどんどんエスカレートしていく愚行に、酒の入った俺も怒りだしてきた。

「 次、ふざけた事やったら怒るぞ。」

と忠告した記憶がある。
 いつもこんなやりとりなんで周りは笑ってる。
普段酒飲んでも変わらない俺なんだが、日本酒だけは鬼門だった。
その為、日本酒は正月のみと決めている。
だから親父と喧嘩になるんだな、と思った。
 相変わらず親父は悪ふざけを続け、ついに俺がキレた。

「 いい加減にしろよ、コノヤロー!」

と、始まってしまった。
止めに入る叔母。
 しかし、親父も

「 うるせーよ、コノヤロー!」

でもう止める事は出来なかった。
 流石にこの歳で殴り合いってのも寒いので、俺はその場で帰ることにした。
飲酒運転は出来ないので代行を探そうと思ったがそれすら面倒くさく、カード会社に連絡をして最寄りのホテル手配を頼んだ。
 しかし、いつも宿泊しているホテルは満室だった。
それで、すぐ他のホテルを手配してもらった。
結局隣町のホテルでタクシーで5000円くらいの距離だった。
 それから、タクシーも手配してもらった。
そんな俺を見て、親父も、

「 テメー、タクシーって、偉くなったもんだな!」

と、一触即発だった。
 叔母は、

「 お正月から親子喧嘩なんてやめてよ。
◯◯ちゃん(俺)、我慢して!」

と懇願されたが、

「 ウルセーよ、コラ!」

と完全に突入していた。











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日々の恐怖 11月2日 正月は暇(1)

2016-11-02 21:10:54 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 11月2日 正月は暇(1)




 俺は二十歳くらいから都心で生活しているのだが、正月は暇なので実家に帰る。
改めて東京は地方出身者の集まりなんだな、と感じる程正月は道路もガラガラ。
なので正月は車で40分もあれば実家に帰る事が出来る。
 俺は片親で実家には親父しかいない。
この親父がまたヤンチャと言うか豪快と言うか、過去正月にお互い酔っぱらって、鼻骨骨折、前歯欠損レベルの喧嘩をよくしていた。
さすがに最近はお互い大人になって殴り合いになるようなことは無くなった。
言うならば、地元の友達みたいな親子関係だ。。
 当然、親父も俺も二人で正月を過ごすってのはなんだか照れくさいもんで、毎年親戚の家で鍋なんかをつつきながら、酒飲んで馬鹿話してるのが毎年恒例だった。
親戚は親父の弟、そのお嫁さん、そこの娘などなど、皆明るい性格で楽しく過ごさせて貰っている。
 その年帰省した時、俺はデジタル一眼を持っていた。
ナントカがCMやってたヤツ。
 なんでかって言うと年末の俺の誕生日、毎年友人や後輩や先輩、仲間の皆が誕生日会を開催してくれる。
その時なんとなく欲しいなあ、と思っていたそのデジタル一眼を先輩がプレゼントしてくれた。
タイムリーで凄い嬉しくて実家で皆の写真を撮ろう、と思った。
 家系はみんな大酒飲み。
鍋食べながらどんどん酔っぱらっていった。











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日々の恐怖 11月1日 宮城のお母さん

2016-11-01 19:44:34 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 11月1日 宮城のお母さん




 昔、携帯買ったばっかりの頃、非通知着信がやたらと多かった。
ある日の朝方また非通知から電話がかかってきたらしく今度は留守録が残ってた。
 再生したらおばさんっぽい声で、

「  あなたのお母さんですよ。
あなたのお母さんですよ。
あなたのお母さんですよ。
あなたのお母さんですよ。」

って時間一杯に入ってた。
 もちろん、かーちゃんに聞いても、

「 そんなことやってない。」

と言われる。
 留守録は、その日のうちにまた入れられてた。
今度は、

「 宮城のお母さんですよ。
玄関が開いていませんよ。
宮城のお母さんですよ。
玄関が開いていませんよ。」

延々、これ。
 そんでその日、学校が終わって家に帰ったら玄関脇に停めてあった兄貴の自転車のカゴに、

“ 来ました”

とだけ書かれたメモが入れられてた。
今でも、何だったか謎。













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