新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

フランス・メッス⑪ 外から見るステンドグラス、輝く石材。帰りがけにも思いがけない発見をした。

2020-12-30 | フランス・メッス

 帰りがけ、タンブルヌフのライトアップに出会った。ああ、ここもライトアップするんだ。

近づいてみる。建物の内部にも光源があることに気付いた。

 少し斜めから眺める。堂々とした建築だ。ある意味大聖堂より風格がありそうな気がする。

 ぐるりと回って大聖堂の正面側に来た。そこで見つけたのが窓の部分。外部が暗く、内部に照明が点いていたため。ステンドグラスの図柄が外側からはっきり見えるようになっていた。

 ステンドグラスは聖堂の内部から見るもの、とばかり思っていたが、内部照明の点いた夜になればこんな現象も体験できることに初めて気づいた。

 壁面も見事に黄金色。この大聖堂に使われた石は、ジョーモン石といってはちみつ色をした石材だ。従ってライトアップされると黄金に輝くのだ。思いがけないいろいろな発見をした夜だった。

 

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フランス・メッス⑩ 市場を過ぎ、雨の中、しっとりとした大聖堂の夜景とクリスマスツリーを眺めた。

2020-12-27 | フランス・メッス

今回からまたメッスシリーズに戻ります。

大聖堂を出るとすぐに市場があった。それもちゃんとしたビルの中。

 冬場だったのにもかかわらず豊富な果物類がずらり。

ニンジンやジャガイモなどの野菜類も山積みしてあり、いかにも庶民の台所といった感じだ。

モーゼル川を渡ってオペラ座前に来た。ここにはちょっとしたモニュメントがライトアップされる仕組みになっていて、ちょうど光が点灯を始めたところだった。

 注意してみると背景のオペラ座の壁面にも一部光が入っている。

 プロテスタントの教会タンベルヌフの雄姿も目の前。この建物も20世紀にドイツ人によって造られたものだ。

 この付近はちょうど大聖堂の裏側にあたる。こちらの角度から大聖堂のライトアップを見ようということで、裏に回った。前にもふれたが、大聖堂の正面は空間が狭く、全体を写すには困難なためだ。ただ、雨が激しくなってきた。コンディション最悪!

 ライトアップが始まった。青い暮色の空をバックに大聖堂が黄金色に浮かび上がる。

 尖塔部分やウインドウの装飾もよくわかり、光と影のコントラストが鮮やか。

でも、1枚の写真に全体を納めるのは難しかった。

 まあ、雨の中でもどうにかすっきりした大聖堂の姿を収められたかなあ。

 これが全体のわかるギリギリのショットでした。

 時期はクリスマスシーズン。最後に巨大なクリスマスツリーを対象にシャッターを切って戻る準備にかかった。

 

 

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フランス・メッス⑨ 守護聖人である聖ステファノはキリスト教最初の殉教者。石打ちの刑の模様がステンドグラスに。

2020-12-22 | フランス・メッス

  次は内陣のステンドグラス。(ステンドグラスに興味のない人には飽きてしまったでしょうが、もう1回だけお付き合いをお願いします) 主祭壇の後方にあるバレンティン・ブーシェの作品は、「聖ステファノの石打ち」の光景が描かれている。

 聖ステファノは初期キリスト教の使徒で、古いユダヤ教を批判したために石打ちの刑にあって死去。キリスト教徒最初の殉教者となった。メッスの守護聖人になっていて、サンテティエンヌというこの大聖堂の名前は聖ステファノの事を差している。

 従ってこの大聖堂の主祭壇ステンドグラスにその姿が描かれるのも当然ということだろう。サンテティエンヌ大聖堂という名前は、フランス・ブールジュなどにもあるのでご注意を。

 その場面のアップがこちら(すみません。ブレブレになってしまってよくわからないかもしれません)。左から2番目のところに座り込んでいるのが聖ステファノ。頭上に見えるのが「キリストの手」だという。

 別のステンドグラスにもう少しわかりやすい聖ステファノがいました。左側の人物。向かい合っているのは聖パウロ。

 こちらは聖人たちの行列。1列に8人ずつ3段になってズラリと並んでいる。

こちらも聖人たち。16世紀のウインドウだ。

 せめて最後はもう少しすっきりした画像を見せしよう。こちらは14世紀の貴重なバラ窓の作品だ。

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フランス・メッス⑧ 人生の節目の場面で、聖母が目の覚める印象的な青い衣装で登場する

2020-12-19 | フランス・メッス

 シャガール以外にも注目すべきステンドグラスが各所に配置されている。その1つは入り口を入ってすぐ右側廊にある大きなステンドグラス。これは3つに分かれている。

 中央には「聖母戴冠」がある。キリストが頭上に掲げた冠を、左に控える聖母が受け取る場面だ。胸に手を合わせた聖母の目の覚めるように鮮やかな青い着衣。贈り主(キリスト)の着衣の赤とのコントラスト。そして冠を見つめる聖母の真っすぐな瞳が見事に表現されている。

 右には「聖ドミニコ」。キリスト教など信じていなかったドミニコが回心して祈りの道具であるロザリオを聖母から受け取る場面。回心のために三日三晩祈り続けた時、目の前に聖母が現れたという。

 そして左にあるのはシモン・ストックが1251年に聖母からスカラプリオ(修道士が肩から下げる衣装)を受け取るシーン。

 いずれも人生の節目に大事な物を受け取るところで、聖母が印象的な姿で登場している。このステンドグラスはメイヤーの1884年の作品だ。

 とても新しい作品もあった。聖体礼拝堂のものはジャックス・ヴィロンの1957年の作品だ。

左はユダヤ人の出エジプトを祈念する過ぎ越しの祭りと最後の晩餐。

中央にはキリストの処刑。

右がカナの婚礼とモーゼの非難。

かなり抽象的な表現で難解。具体的な物語をこの絵から読み解こうとするより、豊かな色彩の変化を楽しんだ方がよさそうだ。

 

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フランス・メッス⑦ シャガールの情熱、第二次世界大戦、工房のマルク。いくつもの運命が至極のステンドグラス完成に導いた。

2020-12-15 | フランス・メッス

 さらに、主祭壇から見て斜め右前方に第3のシャガールステンドグラスがある。こちらはこれまでの赤と青主体の色彩からがらりと変化して、全面黄色が支配する輝かしい色彩が特徴だ。そして前のものより絵の内容がわかりやすい気がする。

 1番左は「アダムとイヴの誕生」。

拡大すると分かりやすい。アダムの肋骨からイヴが出て来るところだ。 

 次に「エデンの園」。下部にはゆったりとくつろぐ女性。中盤では馬が飛んでいる。幸せな風景が展開されている。

 3番目は「原罪」。ここで、イヴは誘惑に乗って禁断の果実を食べてしまった。イヴの腹がピンクに染まっている。

 よく見るとイヴィの横には蛇がうねり、アダムはイヴの足元に倒れてしまっている。

 そして1番右は「楽園追放」。明るいエデンの園から青暗い地へと追いやられてしまう。

 実はこれらのシャガール作品は、第二次世界大戦と大きなかかわりを持っている。戦争当時、教会では貴重なステンドグラスを窓から外して保管していた。しかし戦いの中で破壊されてしまった物も少なくない。その「穴埋め策」としてシャガールに作品が依頼され、それが今では大聖堂の価値を高める結果になっている。

 シャガールがステンドグラスの制作を始めたのは70歳を過ぎてから。1957年にイスラエルを旅した際、サヴォワ県の神父に依頼されて初めて現地の教会に製作した。

 これを皮切りにステンドグラスへの情熱は高まって行く。メッスの大聖堂は1959年、72歳の時に後陣第2窓を製作後、1962年に第1窓。さらに1968年には側翼廊と、3回にわたって手掛けて完成させている。

これらの製作にはガラス職人との出会いが大きかった。フランスで最も優れたステンドグラス工房「シモン」のシャルル・マルクとは1958年に知り合い、以来生涯にわたって二人三脚の製作活動を続けた。マルク・シャガールとシャルル・マルク。2人とも「マルク」の名前を持ち、まるで兄弟のような付き合いだった。

 

 

 

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