新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

階段紀行・フランス シャンボール城に存在する二重らせん階段。天才ダ・ヴィンチの設計との説も

2023-03-21 | 階段紀行・フランス

 フランス・ロワール地方の森にそびえるシャンボール城。

 フランソワ1世が16世紀に離宮として建設したものだが、この天守中央に不思議な階段が存在する。上る人と下る人が全くすれ違うことなしに通行出来るという、二重螺旋階段だ。

 試しにこの階段を上って見たが、確かにすれ違うことはなかった。

 この二重らせん階段はだれが設計したのだろうか。城の設計者は明らかになっていない。

 だが、1つの推理がなされる。というのは、フランソワ1世はミラノ遠征を行い、イタリアルネサンスの文化に触れるとともに、イタリアの天才レオナルド・ダ・ヴィンチをフランスに呼び寄せている。つまり、あの天才レオナルドの発想が、この城の設計に大きく影響している可能性が大きい。

 そんな夢と推理を膨らませることの出来る稀有の階段が、この城の魅力にもなっている。

 途中、螺旋階段の内側をのぞくことの出来る場所があった。内部はこんな感じだ。

 逆に、下から見上げると、まぶしい光が差し込んでくるスポットになっていた。

 城の大きさは幅156m、高さ56m、部屋数426室、さら外観の特徴である煙突の数は実に282本と、ロワール地方最大規模を誇っている。

 私はこの城の近くのホテルに泊まったが、その日こんなクラシックパレードの行事が行われ、中世の時代にタイムスリップする幸運を体験することが出来た。

 

 

 

 

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階段紀行・フランス ナンシー美術館 アールヌーヴォーの華やかな螺旋階段

2023-03-18 | 階段紀行・フランス

しばらく休載していた階段紀行を再開します。今回はパリ以外のフランス各地を巡ります。

 フランス東部ナンシー市にあるナンシー美術館。この街はアールヌーヴォーの旗手エミール・ガレの出身地だが、そこの美術館で、まさにアールヌーヴォーの世界を立体的に表現したような階段に出会た。

 まず上部からの眺め。中心にライト(光)を置いて、周囲を、曲線で覆いつくした手すりの円がぐるりと取り巻く。

 その外側に配置された階も、決して直線ではなく、微妙にアールを描いてうねる。

 らせん状に渦巻く上昇気流。一段一段が快い回転を刻む。

 一階から見上げる。手すりの渦は高く高く、蛇の昇天図のようにどこまでも伸びて行く。

 そして、ついには上空で輪を形成してしまう。

 何度も上ったり下ったりしていたら、学芸員の人に不思議そうな目で見られてしまった。

 それとは別に、2階から3階へ続く美しい別の階段も見つけた。白を基調として両側が外に柔らかくカーブする。中心の白い柱には所蔵作品が大きく掲げられている。

 また、脇の壁や小さな空間にも作品が並べられ、階段全体の白と基段の赤とが絶妙な配合となって、空間全体を華やかなものにしている。

 展示作品もバラエティ豊かだったが、それにも増して、入館して初めて出会う階段の面白さにひきつかられた美術館だった。

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階段紀行・フランス パリ編⑨ 地下鉄アベス駅では、モンマルトル風景のおさらいが、地上に出る前に出来てしまう。

2021-08-17 | 階段紀行・フランス

 パリ北部、9区のクリシー大通りを北に入った所に地下鉄12号線アベス駅がある。坂道の多いモンマルトルへはこの駅が最寄り駅になる。

 1900年のパリ万博に合わせて開通したパリの地下鉄だが、その駅の入口に、建築家ギマールはアールヌーヴォーの入口を製作した。屋根と壁、ひさしを備えた本格的なもので、現存するのは2つだけ。そのうちの1つがここアベス駅だ。

 ここの地下から地上に出るための螺旋階段が付いており、これがとてもユニークだ。

 ぐるぐる回転するたびに側面に描かれた風景が変化する。まず、駅周辺の風景が現れて、

 次にモンマルトルの街並みが広がる。

 続いてその街並みが夜景に移って行く。

 さらに、モンマルトルのランドマークであるサクレクール聖堂の雄姿が出現し、

 高台にあるモンマルトルの丘から見下ろすパリの市街地と広い空の風景が展開する。

 つまり、ここの螺旋階段を通過するだけで一遍にモンマルトル風景のおさらいが出来てしまうという仕掛けになっている。そんな得した気分になれる階段だ。

 ただ、地下からエレベーターで地上に上がってしまうと、この階段の風景は全く気付かないままになってしまうので、ご注意を。

 

 

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階段紀行・フランス パリ編⑧ 迷宮の世界に通じるのかも…。ギャラリーヴィヴィエンヌの階段

2021-08-14 | 階段紀行・フランス

 今回はパリのパッサージュにある階段を紹介しよう。

 パリにはいくつものパッサージュ(ガラス製の屋根があるアーケード街)が存在し、それぞれが独自のたたずまいを見せて、近年再注目されている。そのうちでも最も美しいと言われているのがギャラリーヴィヴィエンヌだ。

 場所もルーブル美術館やオペラ座から歩いて数分の中心街。数年前パッサージュ探訪をテーマに歩いた時は燃料税値上げ反対の大規模デモの当日で、交通規制されるなど騒然とした日だったが、それでも格式を感じさせるたたずまいに納得した記憶がある。

 その中で見つけたいくつかの階段。1つ目は小物を扱う店の中に設置されていた螺旋階段。小規模の階段だったが白鳥が羽を広げようとしている時のような優雅な形。店長さんにお願いすると、快くOKしてくれて、気持ち的にも温かくシャッターを切ることが出来た。

 アーケードの通りを進むと、突き当りに書店があり、その向かいにある住区に通じる階段がちょっと洒落た感じ。

 途中まで階段を昇ってみると、木製の階段で歴史を感じさせるものだった。

 2階から見下ろした向かいの書店。

 角を曲がって少し進むと、こちらも上の階に昇るための階段が見事なカーブを描いて存在していた。

 周囲は壁になっていて階段は独立している。古びた感じもまたいい。

 ここを昇れば迷宮の世界に吸い込まれて行きそうな・・・。そんな雰囲気を漂わせた階段だった。

 

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階段紀行・フランス パリ編⑦ プティ・パレの優雅な階段と、街角で展開される父と娘との再会の階段画

2021-08-10 | 階段紀行・フランス

 プティ・パレ(パリ市立美術館)は1900年の万国博会場として建設されたもの。主に19世紀から20世紀の絵画作品が収蔵されている。

 入って2階に上がる階段は、緩やかな螺旋階段。

 大きな輪を描いて上昇して行く様は優雅だ。

 奇をてらったものではなく、派手でもない。

 が、そっとクラシックの序章が奏でられようとする瞬間に似て、ソフトな緊張感が伝わってくる階段だ。

 この美術館には、20世紀初頭のベルエポックのパリを代表する舞台女優サラ・ベルナールの肖像(ジョルジュ・クレラン作)が収蔵されていて、そのあでやかさに見入ったことがあった。

 パリの街を歩いていて、突然ビルの横壁に描かれた巨大な絵に遭遇した。

 

大きな長い階段。重そうな荷物を持った紳士がひたすら階段を昇る。

その先、頂上には少女が手を振っている。

「早く、早くここまで来て」と、叫んでいるようにも見える。

階段下では、二人を応援するかのように演奏を続けるピアノとバイオリン。

あの二人は、多分親子。

長い間、何らかの事情に阻まれて会うことが叶わなかった。

それが やっと会える。

トランク一杯のお土産を抱えて、父は娘の元へと急ぐ。

 

そんなドラマを連想させる壁画に しばし見とれてしまった。

 

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