ずらりととんがり屋根=トゥルッリ=が広がる街、アルベロベッロ。おとぎの国にタイムスリップしたかのような街に行った。
名高い観光地だが、鉄道駅は簡素。電車を降りて市街地のマルゲリータ通りを15分ほど西に向けて進む。
ヴェットリオ・エマヌエーレ通りとの交差点で、右に見える立派な教会・ダミアーノ聖所記念堂に立ち寄った。
中央に3枚の聖母やキリストの絵が掲げられていた。すっきりとした内部は一見の価値あり。
そこからエマヌエーレ通りをまっすぐ南に歩く。突き当りのポポロ広場から先が、トゥルッリの広がる旧市街だ。
手前のサンタルチア教会に入る。正面祭壇の後ろは新しいステンドグラス。この教会前がトゥルッリの展望所になっていた。
トゥルッリの集まる地域は、東側のアイア・ピッコラ地区と西側のリオーネ・モンティ地区に分かれている。
トゥルッリとは、白壁の上に灰色の石を何枚も重ねて円錐形の屋根を作りあげ、てっぺんに取っ手のようなとんがりをつけた家だ。
町全体で1430戸。その特異な形から1996年に世界遺産に登録された。
ここを訪れる前に滞在したチステルニーノでは、老夫婦に招かれて家の中を見せてもらったが、1つの屋根に1つの部屋があり、熱を遮るため夏でも涼しくて快適だ。
こんな変わった家が出来た背景には税金対策があったという。
15世紀ころは住居を造れば税金を取られたが、検査官が来るときには、簡単に分解できる屋根を分解して税金逃れをすることが出来たという。農民たちの一種の生活の知恵がこの屋根製作のきっかけだったという。
街を歩くと土産物店内からよく声がかかる。それもしばしば日本語で。「こんにちは」「お土産あるよ」などなど。
この町は日本人には南イタリア1というほど人気があって、金払いの良い日本人観光客が常時訪れるので、店側もすっかり日本語が上達してしまったようだ。