新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

心ふるえる風景 パリ編㊱ パリの墓地 小雨模様の中 ショパンは花束に囲まれて永遠の眠りについていた

2025-01-25 | 心ふるえる風景 パリ編

しばらく中断していた「心ふるえる風景」を再開します。

 ピアノの詩人フレデリック・ショパンは1831年、21歳でパリに移り

 39歳で病死するまでの18年間のほとんどをパリで過ごした

 従って彼の遺骸は パリの墓地に埋葬されている ペール・ラシェーズ墓地

 彼の墓は 墓地の中央入口からほど近い場所にあった

 墓石の上部には うつむく少女の像があり 

 石碑の中央にショパンの横顔と名前が刻まれている

 墓前には花束が絶えず 私が訪れた時も何人もの参拝者の姿があった

 

 パリ中心部のマドレーヌ聖堂で行われた葬儀には 3千人もが集まったといわれる

 その際 彼の心臓は故国ポーランドに戻されたが

 こちらの墓の遺体の上には 故国の土が撒かれたという

 

 墓の前にたたずんでいると どこからともなく彼の遺作「ノクターン20番」の調べが

 地面から湧き上がってくるような 幻想にとらわれる気がした

 一時期彼とジョルジュ・サンドが暮らした場所にある ロマン派美術館には

 彼の左手の「デスハンド」が保存されている

 あの繊細なメロディを紡ぎ出した天才の手は 

 意外にもというべきか 当然というべきか

 節々の関節が目立つ 力強いフォルムのまま残されていた

 

 


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