「サントシャペル」に入った
教会の狭い階段を上って 上部の礼拝堂に入った途端
まぶしく青い光の照射に 体全体が包み込まれてしまった
15ある大窓がすべて ステンドグラスによって装飾され
それも7mの高さまで 大きく広がる
そこにはアダムとイヴの物語など 創世期からキリスト復活まで
実に1134の聖書の物語が きめ細かに描かれている
今はまさに ステンドグラスの教会として有名だが
元々は全く違った目的で 建造された教会だった
ルイ14世によって この教会が完成したのは1248年
コンスタンティノープルの皇帝から購入した 茨の十字架など
キリストの聖遺物22点を 大事に収めるための場所だった
キリスト教社会では キリストの聖遺物を収めた教会ほど
高い位となって 信仰を集めることになる
ただ教会にとっての 大きな災難が起きてしまった
フランス革命 大事な聖遺物の多くは焼け出され
わずかに残った冠など2点は ノートルダム大聖堂へと移された
つまり「聖遺物の教会」のはずが 「空っぽの聖遺物箱」に変身してしまった
今も一番奥の中央部分に 小さく囲まれた区画が残っているが
そこが聖遺物の収められているはずの 主祭壇だった
今でこそステンドグラスの教会として 人気を集めてはいるものの
教会としての地位は 低いままになっている
なかには「あれは空箱」 と言い放つ信者もいるという