ボルゲーゼ美術館にはさらにもう1作「ダビデ」(1623~1623)もある。
「アポロとダフネ」製作中にこちらの製作も開始して、結果こちらが先に完成した作品。彼が24歳時のものだ。
敵である巨人ゴリアテを倒そうと、つかんだ石を今まさに投げようとしている、力感にあふれた姿が圧倒的な迫力を表出している。
「ダビデ」は、これまでに何人もの芸術家によって仕上げられてきた。その中でも対照的な2つの作品と比べてみよう。
まずはミケランジェロのあまりにも有名な作品。こちらのダビデは、ゴリアテとの戦いに挑む直前。
満々たる闘志を内に秘め、輝く瞳をきらめかしながら緊張の中に佇んでいる。
一方、ドナテッロの作品は全く違っている。このダビデはすでに戦いを終えてしまっている。
倒したゴリアテの首を足元に置いて、その興奮を徐々に冷ましつつ激動の時間から解放されようとしている状態だ。
同じダビデという題材を描くにしても、これほど対照的に表現された3体の作品を見比べることで、三人三様、それぞれの時代の代表的芸術家の凄さが際立つような気がする。
コメント有難うございます。
ベルニーニだけでなく、ミケランジェロやレオナルドなど、当時の芸術家は美術だけでなく、建築や解剖、設計などいろんな部門で才能をいかんなく発揮しています。
天才は全く別次元の人間なんだな、とただただ感心するばかりです。