セーヌ川左岸にあるサンジェルマンデプレ教会は パリに現存する最古の教会だ
パリでは数少ない ロマネスク様式で建造されている
ゴシック建築のノートルダム大聖堂などと違って 観光客は少ない
境内に入ると ひんやりした空気に包まれる感覚だ
ステンドグラスから差し込む光を浴びながら ほぼ一周し終えようとした頃
一体の像に出会った 13世紀中ごろと推定される聖母子像
20世紀後半に 教会近くの壁の土台から発見されたとのことで
像全体のうち右半身は失われた形だった
顔も鼻の一部は欠けた状態だが
衣をかぶって 抱きかかえる我が子を見つめる表情は
慈しみに満ち 優しさの極地とでも言えそうな 微笑みを湛えて居る
人が 心から湧き上がる愛の気持ちを表現する時
これ以上はないだろうと思える 目元口元ほほの温かさ ・・・
以来私は この像の表情を 自らの心に大切に刻み続けている