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新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

階段紀行・日本 東京編㊱ お台場の夜に目を惹くフジテレビの照明大階段

2025-04-19 | 階段紀行・日本

 お台場のフジテレビビルは、建物の中央に球形の空間があることでも有名だが、その他ビル側面に大階段が設置されていることも、大きな特徴となっている。

大階段は夜になると、七色の照明でライトアップされることは意外に知られていない。

 師走の夜、別の用事で出かけた時、その大階段が明るく光っているのに気づき、近づいてみた。

 階段は百段近くはありそうで、幅もかなり広い設計になっているが、その格段毎に違ったライトで彩色されているのが目についた、

 しかも数十秒ごとに配色が変化してゆく。初めは下の階の暗い紫から徐々に明るくだいだい色へと変わっていく。

 しばし眺めていると、次の時間帯は一番下が赤。そこから緑を経て最上階は白に近い明るさへと変化していった。

 そんなバラエティに富んだ照明の仕掛けは、とても楽しめる内容だった。

 “中居問題”でスポンサーが続々撤退するなど厳しい局面を迎えているフジテレビだが、改めて体制を一新してこの光のように明るい時代を迎えてほしいものだ。

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階段紀行・日本 東京編㉟ 東京駅前の大都会 新しい戸田ビルの1階で、奔放な階段アートが空間を飛んでいた

2025-04-15 | 階段紀行・日本

 2025年11月に東京都京橋に、戸田建設の超高層ビルがオープンした。

 その1階にあるアートスペースに、階段アートとも言うべき作品が展示された。

 地上から発生した階段状の曲線が、巨大な吹き抜け空間に躍り上がり、くねくねと曲がり、交じり合い、

 天井付近で突然途切れる。

 いや、目に見えないどこかで、別次元の空間を飛び回っているのかもしれない。

 流れを追っている者の心の中に、新鮮なリズムを奏でているようにも見える。

 上階に昇って見下ろしてみると、透き通る階段の上を突然透明人間が走り降りてくるかも、とさえ思わせる軽快なカーブが地上にまで続いている。

 

作者は東京芸大卒の芸術家持田敦子。タイトルは「steps」

広い空間が提供されていることから、そのスペースを最大限に活用して伸び伸びと展開した階段アートは

いつまで見ていても飽きない楽しさを提供してくれるものだった。

外に出ると、前庭にも同様に自在な階段が、東京の中心地で軽快に飛び回っていた。

 

 

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心ふるえる風景 北中部イタリア編⑨ パッラーディオの別荘で 出会った可愛い少女が実は !!!

2025-04-12 | 心ふるえる風景 北中部イタリア編

 ヴィチェンツァの郊外にある アンドレア・パッラーディオのもう一つの傑作建築を見に出かけた

 バスで約15分 目的の「ラ・ロトンダ」は1567年に完成した別荘だ

 施主の名前を取って ヴィラ・アルメリコ・カプラとも呼ばれる

 

 ロトンダとは円形のことを指す言葉なので 丸い建物かと思っていたが

 見ると形は四角形 ただ上方のドームの円さが目についた

 四辺はいずれも大階段に囲まれ 6本のイオニア式列柱が並ぶ

 装飾は少ないが統一性と調和という点では 他のパッラーディオ建築と共通する感じだ

 日差しの強い外から 少し薄暗い内部空間に身を置くとすぐ あれ!と驚くことがあった

 奥の部屋からドアを開いて おしゃれな服を着た少女が顔を出し 

 「こんにちは」と 挨拶している  目まいのような一瞬だった

 

 もう一度見直すと その少女は壁に描かれた だまし絵だった

 少女だけではない 半分開かれたドアそのものも壁画の一部

 あの部分全体が 全く通行することの出来ない壁だったのだ

 

 多分この絵は18世紀のヴェネツィアで大活躍した ティエポロの作品だと思う

 彼は聖堂の天井画に仰視法を用いて 平面に大きな奥行きを感じさせる作品をよく残しているが

 このドアの少女も 彼独特の手法をいかんなく発揮して仕組んだだまし絵に違いない

 

 だまされたら 悔しいとかこの野郎とかといった感想を持つのだろうが

 この少女の絵は「だまされてうれしい」と思わせる心躍るものだった

 

 

 

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心ふるえる風景 北中部イタリア編⑧ ヴィチェンツァの劇的構成の劇場で 素晴らしい音楽に包み込まれた

2025-04-08 | 心ふるえる風景 北中部イタリア編

 ヴィチェンツァはイタリア北部 パドヴァとヴェローナとの中間に位置する人口12万人の街

 ルネサンスの天才建築家アンドレア・パッラーディオの建築が 街中に展開されており

 この街は「パッラーディオの街」として有名だ

 

 その彼の最期の作品である オリンピコ劇場を見に出かけた

 駅からパッラーディオ大通りを歩いて 突き当りにその建物が見えてくる

 中に入って驚かされるのがその舞台だ 正面に横に広がる大きな門が存在する

 門と言っても単なる仕切りではなく 王宮の城壁を連想させる造りで

 各所に彫像が配置されるなど 壮大な広がりを持っている

 

 さらに入口の奥には壮麗な建築群に挟まれた大通りが見通せ 上空には空がのぞいている

 この情景は古代エジプトに栄えたテーベの街が 再現されたものだという

 

 観客席は階段座席になっており 後方の柱の上には28体の彫像が並ぶ

 演劇が始まらなくても すでに劇が進行しているのではないかとさえ思わせる空間が広がっている

 

 そんな内部にびっくりしている時 座席後方から音楽が流れてきた

 讃美歌だ それも男女混成の合唱曲

 振り向くと 私たちより少し前に入場していたドイツ人の団体が歌い始めていた

 多分プロかセミプロの集団らしく 朗々と響く楽曲は劇場の素晴らしい音響効果と相まって

 場内を包み込むように 響き渡った

 

 劇的な舞台と 劇的な音楽 

 思いもよらない大きなプレゼントをもらったような 幸せな気分に浸された時間だった

 

 

 

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心ふるえる風景 北中部イタリア編⑦ トリエステの夜 季節風の前兆にコートが翻った

2025-04-05 | 心ふるえる風景 北中部イタリア編

 夕刻レストランを探して街を歩くうち 大運河に突き当たった

 周辺はハプスブルク帝国女王マリア・テレジアの都市計画で整備された

 新古典主義の 堂々とした建築が華麗に並んでいる

 

 通りを1つ裏に入って よさげな店を見つけた

 注文したのはエビのフリット 海辺の街だけあってエビはプリプリで最高

 白ワインもすっきりとした味で 大満足だった

 店を出るともう街はすっかり夜の装い 8時を過ぎたばかりなのに街を歩く人は少ない

 風が出てきた 急に勢いを増してボタンをはずしていたコートが引きずられるよう

 気の早いクリスマスイルミネーションがバタバタと揺れ 急速な気温の低下を感じる

 そういえば須賀敦子のエッセイに トリエステの季節風「ボーラ」のことが書いてあったっけ

 大運河のさざ波が一層激しさを加え 係留してあるボートを左右に揺らし始めた

 突き当りにあるサンジョヴァンニ教会の姿さえ 霞みがちに見えて来始めた

 赤信号で一緒になった老紳士に 声をかけてみた

 

 「これが ボーラという風でしょうか?」

 老紳士はニヤリと笑って答えた

 「ボーラはねこんなもんじゃないよ 本当のボーラならあなたのように細い人はすぐ飛ばされちゃうよ」

 別れ際の彼のしわがれ声が 風に乗って闇に舞った

 

 

 

 

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