新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

ため息橋と祭りの日だけ出現する仮橋…ヴェネツィアの橋②

2016-07-23 | ヴェネツィアの橋

 ◎ため息橋
 ドゥカーレ宮殿と小運河を挟んで隣の建物とを結ぶ橋。隣には牢獄があり、囚人たちが宮殿から牢獄に移されるとき、橋の小さな窓から外の景色を眺めながら絶望のため息をついた、というエピソードからつけられた名前だ。

 原語も「ポンテ・デイ・ソスピーリ」で、ため息の橋となっている。1602年の建設当時は違う名前だったのが19世紀になって替えられたらしい。

 優雅な浮彫彫刻や1595年に総督に選出されたマリーノ・グリマーニ家の紋章を施した外観を見て、最初はその美しさにため息をついたものだと勝手に理解していた。由来を聞いて、外観とは全く正反対のいきさつにびっくりしたのを覚えている。

 ただ、橋が出来た時代以降は宮殿内の牢獄は軽犯罪犯が大半だったという説もあり、その名に値する状況だったかどうかを疑問視されている。
 それにしても、観光シーズンにはこの橋をバックに記念写真を撮ろうという人で大混雑になる場所だ。


 ◎レデントーレの仮橋
 1577年に大流行したペストの鎮静化を感謝して、毎年7月の第3日曜日に行われるレデントーレの祭りでは、ジュデッカ運河に本島とレデントーレ聖堂とを結ぶ舟の橋が渡される。


 ふだんは大型の船も通行する運河だが、この日だけは完全に通行禁止。お祈りのために仮橋を渡る人たちで占められる。

 その前夜には、夜中12時前後に花火が打ち上げられて、仮橋からも夜空に花開く花火が観賞できる。
 私はサンマルコ広場で花火を見上げたが、ものすごい群衆にもみくちゃになって、なかなか写真を撮影するのに苦労した思い出がある。

 ◎サルーテの仮橋
 毎年11月21日に、これもまた1630年のペスト終結を記念したサルーテ教会の祭りの際、同様に仮橋が架けられる。

 教会巡りシリーズのジーリオ教会の時にも紹介したが、こちらはカナルグランデ(大運河)を横断してかけられる。

 こちらの祭りは派手な演出はない。サルーテ教会内のミサに参加したことがあった。堂内に灯されるろうそくの明かりの中で、敬虔に祈りをささげる瞬間は、とても心を洗われる経験だった。

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