新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

寺社巡り・東京⑬ 根津神社 強運の神社で千本鳥居をくぐり、「吾輩は猫である」を生んだ石で二人の文豪を思う。

2020-11-14 | 寺社巡り・東京

 根津神社を目指して表参道を行くと、まず大きな鳥居に出会う。ここが正面入口だ。

 次に総檜造りの立派な楼門が待っている。

 そして社殿が現れる。これらは徳川五代将軍綱吉が敷地を寄進、権現造りの神社大造営を実施して1706年に完成したもの。その時の本殿、拝殿、楼門など7つの建築物がそっくりそのまま現存しているという。

 つまり、関東大震災や東京大空襲など、他の歴史的建造物が軒並み破壊された中で、奇跡的にそっくり残された、現存する最大規模の江戸神社建築ということになる。「強運の神社」とされる由縁だ。

 楼門に入ってすぐのところに、平べったくて長い石が置いてある。これは「文豪の石」と呼ばれる。

はて!どうして?

それにはこんなエピソードが伝えられている。

1890年、この神社の近く、明治の住所でいうと本郷区千駄木57番地に、2年前にドイツから帰国した森鴎外が住み着いた。そして1年3か月、散策の折に根津神社に立ち寄り、この石に座って憩いの時を過ごした。

 また、13年後イギリスから帰国した夏目漱石が、奇しくも鴎外の住んだ同じ家に引っ越してきた。彼も神社に来てはこの石に座り、作品の構想を練ったという。「吾輩はねこである」はまさにこの時期に発表された作品だ。

 そんないわれから、この石が「文豪の石」と呼ばれている。この2人が住んだ家は現在犬山市の明治の館に移築されている。

 境内では乙女稲荷神社の参道に並ぶ千本鳥居が有名だ。

 社殿の横に長く長く赤い鳥居が連なる。

 これを北から南に通り抜けると邪気がきれいに取り払われるとされる。この日は曇り空。蒸し暑い日だったが、何人もの人が鳥居くぐりに挑戦していた。もちろん私も。邪気がはらわれたかな・・。

 

  


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