「百華夢想」（愛知県）
彼は
枯れ葉が 鳴っている
ほんの少しの 風にも揺れて
ささやきあっている
でもこんな ひそやかな会話に
耳を澄ますのは
早すぎる月日の 流れに気づく
大人たちだけだ
子供は 枯葉を踏んで
ドングリを 集めて
冬に かたむく日に
ほおを ほてらせながら
ポケットを いっぱいにする
まわれ！ ドングリのコマ
（高田 敏子）
「燦-SUN」（東京都）
街を歩く時に 風に耳を澄ませてね
風の中に きっと私の声がする
夜に眠るときも 窓をたたく風の音
どうぞ聞いてほしい ささやく声がする
いつも私は 愛の思いを
風の中に 告げているのよ
私の愛にも 気づかないあの人は
だからせめて風よ 愛を伝えて
通り過ぎる 風にたくすの
私の愛にも 気づかないのあの人は
だからせめて風よ 愛を伝えて
（山上 路夫）
「夏龍颯爽」（埼玉県）
面影橋から天満橋 天満橋から日蔭橋
季節はずれの風にのり 季節はずれの赤とんぼ
流してあげよか 大淀に
切って捨てよか 大淀に
いにしえ坂から わらべ坂 わらべ坂から五番坂
春はどこから来るかしら
風に吹かれて来るかしら
めぐりめぐる思い出に 歌を忘れた影法師
（田中 信彦 及川 恒平）
「轍ーWADACHI」（福島県）
「七福よさこい連祝ぜん」（東京都）
知らない街を 歩いてみたい
どこか遠くへ 行きたい
知らない海を ながめてみたい
どこか遠くへ 行きたい
遠い街 遠い海
夢はるか ひとり旅
愛する人と 廻り会いたい
どこか遠くへ 行きたい
愛し合い 信じ合い
いつの日か 幸せを
愛する人と 巡り合いたい
どこか遠くへ 行きたい
（永 六輔）
「浜長 花神楽」（高知県）
「dance company REIKA組」（東京都）
智恵子は 見えないものを見
聞こえないものを 聞く
智恵子は 行けないところに行き
出来ないことを 為る
智恵子は 現身の私を 見ず
わたしの後ろのわたしに 焦がれる
智恵子は 苦しみの重さを 今は捨てて
限りない荒漠の美意識研圏に さまよひ出た
わたしを呼ぶ声を しきりに聞くが
智恵子は もう人間界の 切符を持たない
（高村 光太郎）
