
17日シネモンドで鑑賞しました。公式HP
監督 ロドリゴ・ソロゴイエン
エレナ: マルタ・ニエト
ジャン: ジュール・ポリエ
ヨセバ:アレックス・ブレンデミュール
スペインに住むエレナ。携帯に息子のイヴァンから電話が入る。離婚した夫ラモンが引き取った6歳の息子。夫とフランスのビーチにいるイヴァン。聞けばビーチにイヴァンを残して車に戻った父が戻って来ないと不安になってエレナに電話してきたらしい。別の電話口でラモンの現在の妻に連絡しても居所が分からずエレナは口調が荒くなる。
そのうち「知らない男の人がこっちを見てる」とか「僕の方に向かってくる」とか言い出すけれど何もしてやれない。
平行して警察に電話して「すぐに助けに行って」と怒鳴っても正確な場所も伝えられず警察にもどうにもできない。そしてイヴァンの携帯は電池切れとなって通話が途切れる。
目の前で何が起こっているのか見えないけれど得体の知れない恐怖が襲ってきます。恐ろしいシーン。 エレナが狂ったように電話口で絶叫する様子には怒りと悲しみと絶望とが入り混ざっていました。
10年後エレナはフランスのビーチのレストランに勤めていました。恋人もいて穏やかに過ごしているようですが失踪した息子のことで今も苦しんでいる。
ビーチを散歩中通りがかりの少年に息子のおもかげを見る。
以後見かけると目で追ったりこっそりと後をつけたり。
その少年がエレナの店に客としてやって来た。名前はジャン。パリから夏の間避暑に来たという。
エレナが自分のことをつけていたことも知っていたけれどエレナに好意的。家に招待したり、友だちに紹介したり、エレナも自宅に呼んだりして親しくなっていく。
この子がひょっとして生き別れたイヴァン?と思ったけど、違っておりました。
エレナとジャンは夜遅くまで会っていたり、ジャンが酔っ払って帰ってきたりするようになり、ジャンの家族はエレナを遠ざけようとする。(まあ当然そうなるわな。いくらジャンが望んでも適切な時間に帰らせるべきだし、お酒は飲ませちゃいけないでしょう、大人として。この辺エレナにイラッと来ました。)
エレナの恋人ヨセバは、エレナとジャンの関係に不安を抱く。
「あの子はイヴァンじゃない」とエレナを諭し、引っ越して新しい生活を始めることを承諾させる。
この恋人の存在がどれだけエレナを助け、安らぎを与えていたか、想像に難くありません。
イントロのエレナが電話口で半狂乱になっていたシーンはその部分だけで短編映画として公開されたのだそうです。(第91回アカデミー賞®短編実写映画賞にノミネート)迫力というか切羽詰まった演技が鬼気迫るものがありました。
その後の話を組み立てて作られた映画。
絶望の底にあったエレナの心が少しは和らいだと思える結末でした。