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高い強度と骨置換性を持つ人工骨をプリンターで製作

2018-05-02 | 科学・技術
 理化学研究所光量子工学研究センター画像情報処理研究チームの大山慎太郎客員研究員、辻村有紀テクニカルスタッフⅠ、横田秀夫チームリーダー、技術基盤支援チームの山澤建二副チームリーダー、株式会社リコーの渡邉政樹スペシャリストの共同研究グループは、患者の骨の内部を含む欠損部位の形状を再現した「人工骨」を「3Dプリンター技術により製造する手法を開発した(4月14日発表)。
 共同研究グループは、BJ(Binder Jetting)方式をベースに、α-リン酸三カルシウムの粉末に対してエチドロン酸などの新しい凝固インクを用いた粉末積層装置により、人工骨の3次元造形手法を開発した。本手法は、3Dプリントしてすぐに使え、高強度で高い骨置換性を持つ3次元造形人工骨を造形することができる。作製した人工骨の生体適合性を、培養環境下での培養細胞の増殖率と動物への移植実験の組織観察により調べたところ、良好な細胞の増殖率に加えて、速やかに本来の骨組織に入れ替わることを確認した。これは、骨本来が持つリモデリング機能を阻害しない良好な人工骨であることを示している。 新しい凝固インクは数秒で十分に硬化し、相対密度が60%でありながら圧縮強度として、自家骨と同等レベルの強度25~30メガパスカル(MPa、1MPaは100万パスカル)を実現した。プロセス条件を調整することにより、細胞が好適に侵入することが可能な200μm程度の穴を空けることや、さまざまな形状での造形も実現した。
 次に、人工骨を動物に移植して安全性と骨組織との関係を調べた。ラット大腿骨顆部に外側から直径2.2mmの孔を開け、直径2mmに造形したαTCP 3D人工骨柱(新造形法:BJ柱)とαTCPセメント(既存の方法:製品名「バイオペックスR」)円柱(CE柱)を左右に埋入して、1週間後、2週間後、4週間後に摘出して病理組織標本を作製し、骨吸収や置換の進行、異物反応や有害事象を検討した。 その結果、BJ柱では海綿骨における破骨細胞と骨芽細胞の侵入が1週間でみられたのに対し、CE柱は4週間でも同じ形態を維持しており、周辺組織の進入がみられなかった。皮質骨の癒合はいずれも4週間で完成しており、異物反応などの有害事象はいずれにおいてもみられない。このことから、新たに開発した手法で製造した人工骨は、速やかに本来の骨組織に入れ替わることが分かった。
 補足
 3Dプリンター
 設計データをもとにして、特定の材料の2次元の層を自動的に1層ずつ積み重ねていくことによって、所望の立体形状を造形する装置。
 BJ(Binder Jetting)方式
 粉末材料にインクジェット装置により結合剤を塗布し、固着させ積層する原理の3Dプリンター。
 α-リン酸三カルシウム
 化学式:Ca3(PO4)2で表されるリン酸とカルシウムの塩。αは単斜晶系のリン酸カルシウムであり、六方晶系のβに比べて、可溶性と生分解性が優れている。
 骨置換性
 材料の生体骨への置換が促される性質を持つこと。材料は、骨誘導能や伝導能を持ち、骨原性細胞の遊走・分化・増殖を助ける働きを持つ。
 PBF(Powder Bed Fusion)方式
 粉末材料をレーザーや電子ビームなどの熱源を使って、選択的に溶融固化させ積層する原理の3Dプリンター。
 キレート剤、キレート反応
 キレート反応とは、他座配位子が環を形成して、中心金属と結合する化学反応のこと。キレート剤は、キレート反応を起こす多座配位子を持つ化合物。
 相対密度
 本研究においては、造形物中が粉末で完全に詰められていた場合を真密度(100%)としたときの空間占有率を意味する。
 海綿骨、破骨細胞、骨芽細胞
 海綿骨とは、緻密骨である皮質に囲まれた海綿状の骨構造のこと。骨再構築(リモデリング)が行われている。破骨細胞とは、骨再構築に関わる細胞で、骨の吸収を担当する造血幹細胞に由来する多核巨細胞のこと。骨芽細胞とは、骨再構築に関わる細胞で、骨の新生及び再生を担当する間葉系幹細胞に由来する細胞のこと。

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 散歩で咲きだした”エニシダ”の花を見つけた。細かい葉が密生した枝に総状花序を作り、小さな花が沢山咲いている。花色は黄色(黄金色)、だが翼弁が赤い。”ホオベニエニシダ(頬紅金雀枝)”だ。
 和名の「金雀枝」は、黄金に輝く花が枝垂れ咲く形状が孔雀の羽にも見えるから、黄金の孔雀のような枝を持つ花、とつけた漢字。
 マメ科の植物だから、さやえんどう似た果実を付け、熟すと黒褐色となる。枝葉の形は、ほうき形。なので、西洋ではエニシダの枝で箒(ほうき)を作り、魔女の箒はこの枝での箒、と言われる。因みに、枝・葉にアルカロイドが含まれ、食べると中毒を起こす。
 ホオベニエニシダ(頬紅金雀枝)
 別名:錦金雀枝(にしきえにしだ)、赤花金雀枝(あかばなえにしだ)
 マメ科エニシダ属
   エニシダの園芸品種
 落葉~半常緑低木
 原産地は地中海沿岸
 日本には中国から江戸時代初めに渡来
 開花時期は4月~5月
 花は小さな蝶の形(2cm位)で、黄金色(黄色)で翼弁が赤い
 仲間には
  小さな黄色い花の”ヒメエニシダ”、白花の”シロバナエニシダ”がある