産業技術総合研究所(産総研)電子光技術研究部門超伝導エレクトロニクス研究グループ長谷泉主任研究員、柳澤孝上級主任研究員、酸化物デバイスグループ相浦義弘研究グループ長らは、磁性元素を含まないパイロクロア型酸化物であるSn2Nb2O7やSn2Ta2O7(Sn:スズ、Nb:ニオブ、Ta:タンタル、O:酸素)に正孔を導入できれば、磁石としての性質を示す強磁性が出現することを理論的に予測した(5月8日発表)。
フラットバンド模型は完全強磁性、超伝導、分数量子ホール効果などの特異な物性を生み出す「奇跡の模型」として注目されて来た。通常、磁性元素を含まない物質は強磁性を示さないが、フラットバンド模型では磁性元素を含まなくても強磁性を示すと予測されていた。この「無から有」を生む鍵は二つあり、一つは結晶構造で、もう一つは適切な化学組成である。しかし、この模型を実現する現実の物質はこれまで示されていなかった。
今回対象とした酸化物の結晶は内部にパイロクロア格子と呼ばれる特徴的な格子を含む。また、今回の化学組成を選び、さらに正孔を導入すると、実在する物質でフラットバンド模型が近似的に実現すること(擬フラットバンド)や、強磁性が出現することを第一原理計算によって理論的に予測できた。この発見によりフラットバンド模型の性質の実験的検証が進むと同時に、磁性元素を含まない磁性材料などへの応用が期待される。
◆磁性元素
原子の中で電子は特定の軌道を回っている。磁性元素では一番エネルギーの高い電子(価電子と呼ぶ)がd軌道もしくはf軌道と呼ばれる軌道を一部占有している。d軌道やf軌道は原子に強くトラップされていて、隣の原子に飛び移りにくい。このため電子の持つ微小磁石(スピン)がそのまま表れて、磁性が生じることが多い。鉄やネオジムが代表例であり、重元素や希少元素が多い。一方、価電子がs軌道やp軌道と呼ばれる軌道を占有する場合は、電子が他の原子に容易に飛び移ってしまい、通常は磁性が生じない。このような元素を非磁性元素と呼ぶ。スズや酸素が代表例である。
◆パイロクロア型酸化物
化学式A2B2O7で表される一群の酸化物で、A位置には主に希土類元素やスズなど、B位置には主に遷移金属が入る。A位置(もしくはB位置)のみを抜き出した格子をパイロクロア格子と呼ぶ。
◆正孔
電子の抜けた穴のことを正孔と呼ぶ。電子は容器に入れた水のように、エネルギーが低いところから順に詰まって行く。例えば図1(a)、あるいは図2(b)で灰色に塗った部分には電子が詰まっている。ここに正孔を導入するとは電子を取り去ることであり、上述の図の灰色部分の最上部である「水面」を少し下げることに相当する。
◆エネルギーバンド、フラットバンド模型、(擬)フラットバンド
量子力学において電子は波動性を持つ。ある波の状態(波数と呼ぶ)にはあるエネルギーが対応する。波数を横軸、エネルギーを縦軸に取ると図2(b)のような曲線が描ける。これをエネルギーバンドと呼ぶ。
同じ波数を持つ状態が複数あるため、エネルギーバンドは一般に複雑になる。通常の結晶格子では、電子が結晶格子上を移動することでエネルギーバンドに分散(広がり)が生じる。電子が隣の原子に移動しやすいほどエネルギーバンドの幅は大きくなり、強磁性は実現しにくくなる。そのため、電子が移動しにくい磁性元素を使うことが強磁性発現にはこれまで必須であった。しかしパイロクロア格子など特殊な結晶格子においては、電子の波が互いに干渉しあう結果、エネルギーバンドの分散がゼロになることがある。これをフラットバンドと呼ぶ。分散が存在しないために非常に多彩で奇妙な物性が予測されている。電子がフラットバンドを持つような結晶格子の模型をフラットバンド模型という。パイロクロア格子やカゴメ格子などいくつかの格子模型の種類がある。理論模型であるため理想化、単純化されているため、計算式などが解きやすく、多くの理論的研究がなされている。完全強磁性、高温超伝導、分数量子ホール効果などの物性が次々に予測され「奇跡の模型」とされている。
現実の物質ではエネルギーバンドに小さな分散が残るが、これを擬フラットバンドと呼ぶ。
快晴。気温も高くなり、最高気温29℃とか。歩くだけで、汗が出る。
歩道横に植えられている”コデマリ”の花が咲いている。まだ少し蕾があるが、満開かな。
”コデマリ”は小さな花が集合して小さな手毬(てまり)の様に咲く。・・名前(小手毬)の由来となっている。白い小花が纏まって咲く、”ユキヤナギ(雪柳)”や”シジミバナ(蜆花)”は、”コデマリ”も属するバラ科シモツケ属である。花が一回り大きい”オオデマリ”はスイカズラ科である。”コデマリ”とは類縁でない。
コデマリ(小手毬)
別名:手毬花(てまりばな)
古名:鈴掛(すずかけ)
バラ科シモツケ属
落葉低木
樹高は1m~2m
原産地は中国広東地方。古くに渡来し、江戸時代初期から庭木などに利用され親しまれる
開花時期は4月~5月
花は白い5弁の小さな(径1cm位)花、これが纏まって径3cm~5cm程の手毬状の花序(花の集まり)を作る
枝に沿ってびっしりと手毬状の花が付く
フラットバンド模型は完全強磁性、超伝導、分数量子ホール効果などの特異な物性を生み出す「奇跡の模型」として注目されて来た。通常、磁性元素を含まない物質は強磁性を示さないが、フラットバンド模型では磁性元素を含まなくても強磁性を示すと予測されていた。この「無から有」を生む鍵は二つあり、一つは結晶構造で、もう一つは適切な化学組成である。しかし、この模型を実現する現実の物質はこれまで示されていなかった。
今回対象とした酸化物の結晶は内部にパイロクロア格子と呼ばれる特徴的な格子を含む。また、今回の化学組成を選び、さらに正孔を導入すると、実在する物質でフラットバンド模型が近似的に実現すること(擬フラットバンド)や、強磁性が出現することを第一原理計算によって理論的に予測できた。この発見によりフラットバンド模型の性質の実験的検証が進むと同時に、磁性元素を含まない磁性材料などへの応用が期待される。
◆磁性元素
原子の中で電子は特定の軌道を回っている。磁性元素では一番エネルギーの高い電子(価電子と呼ぶ)がd軌道もしくはf軌道と呼ばれる軌道を一部占有している。d軌道やf軌道は原子に強くトラップされていて、隣の原子に飛び移りにくい。このため電子の持つ微小磁石(スピン)がそのまま表れて、磁性が生じることが多い。鉄やネオジムが代表例であり、重元素や希少元素が多い。一方、価電子がs軌道やp軌道と呼ばれる軌道を占有する場合は、電子が他の原子に容易に飛び移ってしまい、通常は磁性が生じない。このような元素を非磁性元素と呼ぶ。スズや酸素が代表例である。
◆パイロクロア型酸化物
化学式A2B2O7で表される一群の酸化物で、A位置には主に希土類元素やスズなど、B位置には主に遷移金属が入る。A位置(もしくはB位置)のみを抜き出した格子をパイロクロア格子と呼ぶ。
◆正孔
電子の抜けた穴のことを正孔と呼ぶ。電子は容器に入れた水のように、エネルギーが低いところから順に詰まって行く。例えば図1(a)、あるいは図2(b)で灰色に塗った部分には電子が詰まっている。ここに正孔を導入するとは電子を取り去ることであり、上述の図の灰色部分の最上部である「水面」を少し下げることに相当する。
◆エネルギーバンド、フラットバンド模型、(擬)フラットバンド
量子力学において電子は波動性を持つ。ある波の状態(波数と呼ぶ)にはあるエネルギーが対応する。波数を横軸、エネルギーを縦軸に取ると図2(b)のような曲線が描ける。これをエネルギーバンドと呼ぶ。
同じ波数を持つ状態が複数あるため、エネルギーバンドは一般に複雑になる。通常の結晶格子では、電子が結晶格子上を移動することでエネルギーバンドに分散(広がり)が生じる。電子が隣の原子に移動しやすいほどエネルギーバンドの幅は大きくなり、強磁性は実現しにくくなる。そのため、電子が移動しにくい磁性元素を使うことが強磁性発現にはこれまで必須であった。しかしパイロクロア格子など特殊な結晶格子においては、電子の波が互いに干渉しあう結果、エネルギーバンドの分散がゼロになることがある。これをフラットバンドと呼ぶ。分散が存在しないために非常に多彩で奇妙な物性が予測されている。電子がフラットバンドを持つような結晶格子の模型をフラットバンド模型という。パイロクロア格子やカゴメ格子などいくつかの格子模型の種類がある。理論模型であるため理想化、単純化されているため、計算式などが解きやすく、多くの理論的研究がなされている。完全強磁性、高温超伝導、分数量子ホール効果などの物性が次々に予測され「奇跡の模型」とされている。
現実の物質ではエネルギーバンドに小さな分散が残るが、これを擬フラットバンドと呼ぶ。
快晴。気温も高くなり、最高気温29℃とか。歩くだけで、汗が出る。
歩道横に植えられている”コデマリ”の花が咲いている。まだ少し蕾があるが、満開かな。
”コデマリ”は小さな花が集合して小さな手毬(てまり)の様に咲く。・・名前(小手毬)の由来となっている。白い小花が纏まって咲く、”ユキヤナギ(雪柳)”や”シジミバナ(蜆花)”は、”コデマリ”も属するバラ科シモツケ属である。花が一回り大きい”オオデマリ”はスイカズラ科である。”コデマリ”とは類縁でない。
コデマリ(小手毬)
別名:手毬花(てまりばな)
古名:鈴掛(すずかけ)
バラ科シモツケ属
落葉低木
樹高は1m~2m
原産地は中国広東地方。古くに渡来し、江戸時代初期から庭木などに利用され親しまれる
開花時期は4月~5月
花は白い5弁の小さな(径1cm位)花、これが纏まって径3cm~5cm程の手毬状の花序(花の集まり)を作る
枝に沿ってびっしりと手毬状の花が付く