事前の予想通り、民主党のビル・デブラシオが次期ニューヨーク市長に当選した。共和党は先月の予算審議で完全に人心を失い、戦いにもならなかった。ジウリアーニ、ブルーンバーグと5期続いた共和党市長の後でデブラシオがどのような市政を展開するのか、特にウオールストリートは固唾をのんで見守っている。今回は市長の交代だから金融や経済の問題ではなく、富裕個人に対する対応である。高額所得者にとってNYが住みにくくなることは間違いなさそうだ。更に、NY市警の警備方式も見直される。stop-and-friskとして今までのように不審者に対しての身体検査などはできなくなるようだ。
確かに、ジウリアーニ市長の当選までは、NYはまさに犯罪の街だったと言っても過言ではない。この20年間の共和党市政での徹底的な治安の改善・維持によってNYは実に清潔で安全な街となった。落書きで満艦飾となった地下鉄がホームに滑り込んできた時代は過去のものとなった。
デブラシオが、伝えられるようなマイノリテイ寄りかつ貧困層重視の、いかにも民主党的な市政を行うと、かつてのNYに一気に逆戻りすることは想像に難くない。治安の乱れは一瞬にして起こるがその回復には気の遠くなるような時間がかかる。それと、かつてのNYは不良とドラッグ商人が市民生活を脅かしていたが、911以降NYはあらゆる種類のテロリストの標的になっていることも忘れるわけにはいかない。時代錯誤的な政策が推進されるようだと、NYはテロに対して一気に脆弱な街に待ってしまうのではないかと思う。徹底した反ブルーンバーグ政策も結構だが、一時は住んだあの街がまた混乱に逆戻りするのは見たくない。