今日は建国記念の日で祝日。何をもって建国とするかは国によって異なるがアメリカの独立記念日(7月4日)やフランスの革命記念日(7月14日)、ドイツ統一の日(10月3日)などと同じく、日本の建国を記念する日。こういう日にはどの国でも国旗が掲揚される。日本の国旗に関する法律、国旗及び国歌に関する法律は1999年に公布施行された。たまたまその時は日本にいなかったので、一般にどういった反響があったのかは知らない。この法律には当時の民主党の一部と共産党が反対した。国旗を掲揚する日として祝日が挙げられるが、祝日の中でも、今日の建国記念の日は特に国旗とかかわりの深い日といえるだろう。今でも公共交通機関、タクシーなどは祝日に国旗をつけて走っているからすぐにわかる。
自分の家では、天候の許す限り祝日には玄関に国旗を掲揚することにしている。垣根があるので道路から直接は見えないが、門のあたりから注意して見ればすぐにわかると思う。一度祝日に友人を家に招いたときに国旗を見て少し不思議そうな顔をされたことがある。そして、君は海外に長く住んでいたから国旗を掲揚するのが当然だと思っているのだろう、といった趣旨のことを言われた。たしかに周囲の家を見回しても祝日に国旗を掲揚しているところは多くはない。ただ記憶では、昭和天皇の大喪の礼(1989年2月24日)の日に、その時は日本にいたのだが、かなりの家で弔旗として日の丸の国旗の竿頭を黒い布で覆って玄関に掲揚していたのを見かけた。普段の祝日にはあまり見かけなかったのに、多くの家でそのような弔旗を掲揚していた。頻繁に掲揚はしなくても国旗を持っている家は多いのだと思ったものだ。
先日、暴徒が乱入したアメリカの連邦議会議事堂の周辺には独立記念日には数えきれないくらいの星条旗がはためくし、またオリンピックでは世界中の国旗が勢ぞろいする。日本では普段はあまり国旗を意識することはないが、海外に行くと日本人として意識せざるを得ないこともあり、日の丸に対する感じ方も変わってくる。海外で活躍する日本のスポーツ選手も日の丸を胸につけていることが多い。もちろん政府専用機の尾翼には日の丸そのものが塗装されているし、かつての日本航空の尾翼のシンボルマークも日の丸の一部から着想を得たものだったと聞いたことがある。旅行のセンチメンタルな気分もあるだろうが、海外の空港で日本の航空会社の胴体につけられている日の丸は真っ先に目に入ってくるものだ。特に誰でも海外旅行ができるようになった現在(ここ1年のコロナ禍は別として)、こういう感慨を持つ人の数も飛躍的に多くなっているのだろうと思う。
様々な国が国威発揚に国旗を利用する。しかし、そのスケールと美しさにおいて、フランスの革命記念日のシャンゼリゼを埋め尽くす三色旗の右に出る者はいないのではないか。もちろんフランス人の美的感覚の鋭さもさることながらその国旗の色が、人類の理想に呼応しているからではないかと思う。1983年の革命記念日に、さる理由でシャンゼリゼ通りからほど近いブーローニュの森の中にある、この灰皿に描かれた素晴らしいレストランで食事したことも忘れられない。