回顧と展望

思いついたことや趣味の写真などを備忘録風に

偶然

2021年02月22日 15時31分25秒 | 日記

ロココ様式および絵画は18世紀半ばに最盛期を迎えた後徐々に下火になり、特にフランス革命においてはそのあまりの貴族趣味、享楽趣味など(一見)軽薄にも見える画題が批判され主役の座を新古典主義に明け渡すことになった。そのロココ絵画の最後を飾ったのがジャン=オノレ・フラゴナールであり、その晩年がこの有名画家にしては寂しい、失意と貧困の中にあったことはかつてここでも触れた。しかし、20世紀に入ってニューヨークのフリックコレクションがフラゴナールの絵画を集めた専用の部屋を開設するようになるなど再評価の機運が高まり、今では多くの美術館でフラゴナールの絵が展示されている。このようにロココの時代はいったんは終焉したようにも見えたが、ヨーロッパ絵画の中に生き続け今でも一定の人気を保っているだろう。特に装飾品の世界ではフラゴナールの絵をはじめロココ絵画に題材をとった作品が多く見受けられる。

自分は煙草は喫わないのに、なぜか灰皿が集まってくる。この、知人から頂いたフラゴナールの「Love Story ]と呼ばれる連作を模写したフランス・リモージュの灰皿もその一つ。以前、ドイツ・バイエルンのクライバーの絵皿を載せたことがあるが、別にフラゴナールのファンというわけでもないのに偶然、同じ絵。

石の腰掛けに背の低い木が上から被さるように生い茂っている。18世紀風の衣装に身を包んだカップルが森の中で。腰掛けた女性はおそらく彼女が散歩で摘んだのであろう花でいっぱいの花籠の中からそのいくつかをギターを弾いている若者に差し出している。彼の方は多分セレナーデでも弾いているだろう(ギターの形と弦の数は現代のものとは違うようだが・・・)。いずれも金箔を周囲にあしらった絵皿と灰皿、悪趣味と紙一重のところがロココの特徴か。

故黒川紀章は、若尾文子のことを「バロックのような人」と(その美貌!を)譬えたのは有名な話。ロココはバロックの一種、という人もいて、はっきりとは区別しがたいところもある。ただ、よく、バロックが男性的と言われるのに対してロココは女性的とその特徴を表すこともある。若尾文子はどちらかというとロココな感じもするのだが・・・ただ、最近前東京五輪組織委員会会長の不用意な発言が大きな話題になったこともありこの点について触れるのはあまり賢くないかも。

左下にフラゴナールの名前。

コメント (2)
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