出来るだけ外食を避けようと思っているが、今日の昼は久しぶりに近くの蕎麦屋へ。いつもはいかにもおかみさん、という感じの人が注文を取りに来るのだが今日はまだ若い、たぶんアルバイトのような女性が注文を取りに来た。しかし、きちんと教えられたのか、よくとおる声で手際よくさばいている。マスクをしているからよくはわからなかったが多分すっきりとした顔立ちをしているのではないか・・・。とてもさわやかな気分にさせてくれる店になっていた。
月末の金曜日ということなのか、次々と客が入ってきた。カウンター席はかつての半分になっているし4人掛けのところには原則二人、という感染対策。やはり長居は無用、ということで早々に退散した。そのあとは気分転換を兼ねて(e-Taxで少し煮詰まってしまったので!!)ガラクタの整理を。このペアの花瓶は新古典主義の画家の作品を焼き付けたもので、図体が大きいのと、鮮やかな藍色にひかれてロンドンのどこかの骨董市で安く買ったものだと思う。花瓶とは言うものの、実際に花を活けたことはなく、単なる飾りになっている。
貴族的、退廃的なロココ趣味に対する反発から生まれた、ギリシャ文化への回帰を目指す、形式的な美や写実性を追い求めた新古典主義の芸術家の一人がオーストリア人(スイス生まれ)の女流画家アンゲリカ・カウフマン(Angelica Katharina Kauffmann)。18世紀後半にはヨーロッパ大陸はもとよりイギリスでも活躍、多くのファンやパトロンを得ていた。また、ローマではそこに滞在していたドイツの大作家ゲーテとも親交を結んだ、一世を風靡した画家である。
残念ながら彼女の作品には多様性(!!)や表情に乏しかったこともあり、色使いは高く評価されたものの、その名声は長続きしなかった。それでもロンドンには彼女の手掛けた装飾が残っているし、彼女の描いた自画像や肖像画は世界的に有名な美術館にいくつも展示されている。祖国オーストリアのかつての100シリング札に彼女が描かれていたこともあった(今はオーストリアはユーロが法定通貨でシリング札はもうない)。
右下にカウフマン、と。
左下に。