回顧と展望

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アウトロー

2021年02月19日 17時01分58秒 | 日記

一世を風靡した有名俳優にとって、美しい引き際を飾るというのは簡単ではない。2018年のアメリカ映画「さらば美しきアウトロー」は、ロバート・レッドフォードが自ら最後の主演作品、と言っていたコメデイタッチでしかし、しんみりともさせる映画だ。必ずしも物語に深みはないけれども名優の最後を飾るにはふさわしい映画だったと思う。いや、あまり肩ひじを張らずに80歳を超えた有名俳優が、まるで飛ぶ鳥跡を濁さず、という感じで演じたのが良かった。

先入観を持たずにこの映画を見始めたとき、正直主人公がレッドフォードだと気づかなかった。あまりに老け込んでいる、しわだらけの顔には往年の彼の面影が見当たらなかったからだ。物語が進行して、過去を振り返って、多分40代くらいの主人公の顔が出てきてそこでレッドフォードだとわかった次第。

常習的な銀行強盗それもポケットに拳銃か何か忍ばせていることをうかがわせるだけで金をせしめるという役。何度捕まってもやめられないというのはもう病気以上だろう。なぜなら病気なら治せることができるが、人を決して傷つけたりはしない銀行強盗という魅力(魔力?)にはどうにも抗えないという主人公。この映画、相方のシシー・スペイセクも実にチャーミング(70歳を超えて!)だった。こういう脇を固めた映画は見終わったときにさわやかなものが残る。強盗なのに「紳士だった」「礼儀正しかった」とまで言われるのは確かにニクイ・・・。

久しぶりに会うとあまりに顔が変わっていてすぐには誰だかわからないことがある。この映画の中でのレッドフォードは自分にとってはまさにそれだった。運動はと尋ねられて散歩と答えていたのに最近はあまり歩いていない。これでは老け込むと思って今日は家の近くを一時間ほど歩いてみた。しかし、スマホにある歩数計を見たらそれでも8000歩くらいにしかなっていない。これではまだ少ない、明日からはもう少し歩いてみよう。そうしなければ今度知人と会ったときに「あなた誰?」と言われかねないから。

今日、本棚を整理していたら紺色の箱の中に収められた磁器の人形が出てきた。チューリンゲン州にある「アエルテステ・フォルクステット磁器工場」(1762年創業のチューリンゲンの中で最も古い窯)でつくられたものという貼り紙がある。

多分30年ほど前にドイツで買ったものだが、正確にはいつ、どこで買ったのか記録も記憶もない。ただ、この間、外気に触れることもなく、ひたすら箱の中で眠っていた。写真では判りづらいが、金の絶妙な使い方、透き通るような肌の色や滑らかな指先に至るまでの緻密な造形はこれを作った職人の技術の高さを物語っている。

 

コメント (2)
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