庭物語

庭に咲くハーブや草花の様子を綴ります。
管理者はミントです。

「藍の手」プロジェクト

2013年07月01日 | 手作り

朝は少し霧雨でしたがあとはどんより曇っていて午後には蒸し暑く感じました。
気温は23度まで。
湿度が高いようですっきりしないですね。

数日前のことですが、市内で開催された「藍の手」プロジェクト 第1回に参加しました。

栗原市内のある山村に古くから農家の女性たちが自給自足の仕事として藍や麻を栽培し、藍玉作り、麻の糸績み、機織り、藍染めなどの工程をすべてを各家庭で行っていたところがありました。
戦後交通事情がよくなったり、化学染料や繊維の発達により安価に衣類が入手できるようになりました。
手のかかる藍や麻の仕事を受け継ぎ守り続けていく農家が減ってしまって現在も昔のままの作業工程で「正藍染」を伝承しているのは栗駒文字の千葉家一軒だけになってしまいました。

今回さまざまな立場の方たちが貴重な「正藍染」を通して地域の文化や歴史を学びながら作業の一助になることと染色文化の価値を学ぶ、ということでプロジェクトチームのメンバー募集がありました。

私は十数年前から地元の藍染めに興味を持ち知人を介して千葉家に伺って、当時健在だったよしのさんやお嫁さんのまつ江さんにお話を伺ったり、作業を見せて頂いたりしていました。
あるときは刈り採った藍の葉を揉む作業や、またあるときは藍玉つくりなど近所の方たちに教えていただきながら体験させてもらったこともありました。

最後にお邪魔したのは4年前の藍玉つくりのときでした。
今年はぜひまた伺って一緒にお手伝いさせていただこう、と考えていた時にプロジェクトの募集があったので早々に申し込んだのでした。

前置きがずいぶん長くなってしまいましたが

第1回目は以前から千葉家と交流があって支援を続けてこられた美術史家 濱田先生から日本の藍染めの歴史と、栗駒文字の千葉家の藍の1年間の作業工程などをお話しいただきました。



これは宮城県岩沼市の愛宕神社に奉納された絵馬だそうで藍の栽培から色々な加工の工程が描かれていてとても興味深いですね。


その後地元の郷土史研究家の菅原先生から文字村と藍、伊達藩とのつながりや旧街道として栄えた理由、文字にたくさん残っている長屋門、そして北前船についてなど短時間で内容が盛りだくさんのお話を伺いました。
私には興味津々の内容ばかりだったのでまた機会を別にしてお話をお聞きしたいなあとひそかに思いました。

次に午後の藍染めをするという千葉家に移動して古くから伝わる藍染めの作業を見学させていただきました。


伸子をかけて沢水にくぐらせた麻布を染液に浸けたあと空気にさらしているところ。
全体にまだみどりがかっていますが風に当たると次第に青く変わっていきます。



この地域の藍染めは藍甕ではなく大きな木の桶、コガと呼びますがこのコガで藍建てをして染液を作って藍染めします。加温せずに気温の上昇に伴って発酵する時期にだけ染められるのですね。
この藍の染液のいのちははわずか1か月です、その日の為に1年かけて藍のお世話を守り続けているんですね。
2代目継承者のよしのさんが4年前に亡くなられた後、お嫁さんのまつ江さんがあとを継いでいます。
久しぶりにお会いできてとてもうれしく思いました。
相変わらず謙虚に淡々と作業されていらっしゃる姿がとても印象的でした。



染液に浸けたり風に当てたりを3度繰り返した後こうして乾かします。
より濃い藍色になりましたね。
しばらくして乾いたら家の前を流れる迫川の水で洗うそうです(糊はその前に汲み置きした沢水で洗い落す)。
なぜか川の流れにさらすと藍色がいっそうくっきりするということでした。

どういう模様なのか見ていたらお手伝いされている方が昨日染めた木綿を見せてくださいました。


よく見てみるとアヤメ、キキョウ、キクなどがが描かれているようでした。
美しいですね。

時間が来てしまい今回はこれにて終了となりました。
藍の手、どころか教えていただくことばかりで何のお手伝いも出来ないまま解散し帰宅しました。
次回の日程は天候と藍の生育状況によって決まるとのことで連絡待ちです。
今度は猫の手くらいにお手伝いができたらいいなあと思います。

まつ江さんは藍の仕事が生きがい、とおっしゃっているのでいつまでもお元気で藍の仕事に携わっていていただきたいものだという思いがまた強くなりました。
この仕事を大切に守って受け継いでいってくださる方の育成にも力をいれておられるようでした。

また近いうちにお会いできるのが楽しみです。



コメント (6)
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