2018.6.15(金)雨
山に行こうと決めていた日、朝からあいにくの雨で中止となる。ここぞとばかりに観たかった林典子写真展に行く。会場は立命館大国際平和ミュージアムで昨年7月にも写真展に訪れている。ヤズディとは独自の信仰を持つ少数民族で、2014年ダーシュ(イスラム過激派IS)の襲撃を受け約5,000人が殺害、6,000人の女性が性暴力を受けるという惨劇に見舞われた。フォトジャーナリストの林典子氏はそのヤズディの日常に寄り添って写真を撮り続け、写真集「ヤズディの祈り」を出版された。その一部の46点が今回展示されたものである。襲撃されて廃墟となった家や被害を受けた女性がその後どのようにして生きているかなど多くの写真が物語っているのだけど、林さんは「写真に写る一人ひとりについて何かを想像してもらえたら」と書いておられる。
ISの暴挙に対してわたしたちは「なんてひどい奴らだ、イスラムの名を借りてとんでもない暴挙を行う人間性のかけらも無い奴らだ」と思うだろうけど、果たしてそれでいいのだろうか。彼らだって生まれてすぐにそうだったわけではないし、家に帰れば優しいお父さんであったり、お兄さんなのではないだろうか。彼らのバックで戦争を繰っているやからこそが悪なのではないだろうか。銃だってそうだ、彼らが私財を投じて買っているわけでもなさそうだし、どこかでそれを供給して儲けているやつがいるはずだ。ひょっとしたら敵にも味方にも売っているかもしれない。
戦場の性暴力と言えば旧日本軍の従軍慰安婦の問題がある。韓国発で「花ばぁば」と言う絵本が刊行された。権力と暴力に踏みにじられた女性に寄り添う内容で「ヤズディの祈り」と同軸の趣旨を感じる。作家のクオン・ユンドクさんは「慰安所の女性を暴行した兵士も、一人一人は戦争に動員された被害者。真に裁かれるべきは国家権力だと気づいた」と書いておられる。この本の最後にはベトナムとイラクの女性が登場する。時代や国を問わない戦争と人権の問題であることを理解して欲しかったと言われている。
「ヤズディの祈り」は7月16日まで開催されている。