晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

二人のアイスマン-3 2/12

2019-02-12 | 雨読

2019.2.12(火)雨

 ではなぜ靴が発明され使用されたのだろう。少なくとも5000年前のこのアイスマンが使っていた靴は、防寒と防滑である。靴の内部に防寒用の干し草が入っている。また滑り止めの革紐が巻かれていたとの報告もある。
 人間の足は氷雪の上を歩くときいかに滑りに弱いか冬の白骨温泉で経験した。露天風呂に通う通路は橋状になっていたのだがそこは固まった雪が氷となっていた。そこを裸で歩いて、裸足が氷にこれほど弱いものか思い知った。つるつる滑ってとても立っては歩けない、四つん這いになってようやく露天風呂に通った。答えは簡単である温まった足裏が氷を解かし、水の層を作るためである。これを防ぐには足裏に断熱素材を履く必要がある。靴底が毛皮ではなく革製であったことも滑り止めの意味が強かったのだろう。
 それだけの用途ならサンダル、草履でも良かったわけだが、防寒、防護という意味で踵や甲を覆う靴が形成されていったものと想像される。日本では明治に至るまで草鞋、下駄が使用されたわけだが、寒冷地ではわら靴やアイヌのサケ皮の靴が使用されていた。これらはどこかから伝わってきたというより自然発生的に考え出されたものではないだろうか。つまり靴というのは氷雪に覆われる寒冷の地に発明され使用された用具なのではないかということを考えさせられる一冊であった。
 靴に絞って考察してきたが、5000年前の石器時代の人間が如何に多くの道具を使っていたかということに驚かされる。一人の行き倒れの男が持っていただけでも多いのだから、村での文化というものは相当だろう。エジプト文明以前の人間など簡単な石器以外に何も持っていないだろうという思いが一気に吹っ飛んでしまった。まして基本的に現在と変わらない靴が存在していたことも驚きである。つづく
 

 【今日のじょん】昨日少し雪が降った。今季5,6度目の雪なんだが幸いこの程度で済んでいる。気温も零下になることはなく、エルニーニョ現象が顕著に現れている。

 北日本の方には申し訳ないが、暖かい冬を過ごさせてもらっている。ところがじょんは歳のせいかやたら寒がりで、おしっこも大変。飯食ったらストーブの前でマールくなっておるのだ、ワン。

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