最近入院したのは、突発性難聴の治療のためでした。
実際にもらった診断書の病名は右急性感音難聴で、世間の通称とは違いましたが、5000人に1人程度の発生率の難病で、そのなかで治る人は1/3程度だそうです。
何とかその1/3には入れたようで、ホッとしました。
有名な芸能人でも改善せず、悪いまま方もいらっしゃるようですね。
聴こえないだけでなく、耳鳴りやめまいが残って、ずーっと続く方もいらっしゃるようで、つらいと思います。
症状の程度や内容も個人差があり、発生原因や聴こえないメカニズムがまだわかっていないとのこと。
発症から1週間以内に治療を開始するかどうかが、明暗を分ける第一のポイントとよく書かれていました。
この入院を自分なりに総括し整理しておくために記します。
異変に気付いたのが、多分連休初日の11月3日。
聞こえないことに気づいたのではなく、かつて経験のない、異常に強い耳鳴りと耳穴が詰まった感を感じました。
綿棒で何度掃除してきれいになっても、詰まってる感がとれません。
耳抜きしても、圧迫感が抜けない。
耳鳴りはキーンというもの1種類だけでなく、耳元でカエルが鳴いているようなのものからゴーっというものまで様々で、特定の音に対して、共鳴するように大きな音が重なって響くというのもあり、苦しみました。
「血圧が高い日は耳鳴りがするって、誰かが言ってたな、俺もそうかな。」などと思ってました。
hisotaの場合は、それが右耳だけに現れました。
この病気、ほぼ100%片耳だけで発生し、同じ人に2度発生した事例がない、というのも特徴のようです。
連休初日に発症しましたが、耳鳴りだけが起きていると思っていて、耳が聞こえていないということに気づくのは11月5日頃まで遅れます。
TVの音が、向かって左からしか聞こえないは、右耳が聞こえてないからだと、気づくのに時間が掛かりました。
それから、焦ってネットで調べてみました。
同病の記事を見つけ「これと同じ症状じゃん!ヤバイ」と思いましたが、三連休中であり、救急に駆け込むのも大袈裟だし、様子を見ることにしました。
インターネットの時代でなければ、この病気を知らず手遅れになっていたかもしれません。
嫁のおばあさんは、昭和の頃、耳鳴りがしても、すぐ治るだろうと病院に行かなかったそうです。
しかしこの病気だったようで、私が会った頃には片耳が聴こえませんでした。
週明けの月曜日と火曜日は、関東と関西に日帰り出張の予定になっていました。
キャンセルして病院に行きたかったのですが、11月6日(月)の出張は、倒産間際の取引先に乗り込んで交渉する重要な案件で、工場ではhisota以外には任せられないため、行かざるを得ませんでした。
その時には、右耳はほぼ聞こえなくなっていたので、しゃべっている人の方に頭を傾けながら左耳を向け、なんとかやり抜きました。
たまたま出張メンバーに、この病気の罹病経験者の別事業所の同僚がいて、体験談を聞けたので大分気が楽になりました。
火曜日の出張は部下に任せてキャンセルし、やっと病院に行けたのが11月7日。
耳鳴り発症から5日目で、なんとか発症1週間以内着手の条件をクリアしました。
大病院は掛りつけ医からの紹介状がないと余計な金がかかるのですが、一刻も早く治療を開始したかったので、直接、地域最大病院に飛び込みました。
緊急の事情を話すと最優先で回してくれて、すぐ検査をして、有無を言わさず入院決定となりました。
その時の検査結果がこれ。
Y軸が音圧レベル、X軸が周波数別(右が高い)です。
聴こえ具合というのは、周波数毎にどの音圧レベルを超えると、聴き取ることができるかということで判定します。
上図の赤線でなぞった、Xのマーカーの付いたフラットな点線が左耳の聴力です。
赤丸が最も高い周波数で8KHzですが、平均して10dbほどの小さな音から聴く能力があるということです。
青線でなぞった、丸マーカー付の実線が右耳です。
スタートの最低音は左右ほぼ同じですが、右耳は周波数が上がるとガクッと線が下降し、最低音以外の周波数では50-60dbという大きな音でないと感じない!という意味なのです。
青丸の55dbといえばクーラーの室外機の騒音と同じレベルです。
室外機よりも静かだと私には無音なのです。ひどいでしょう?
主治医によると、これでも少しは聴こえるので中程度の難聴という判定でした。
健康な人間が、突然、何の前触れもなく、こんなに聞こえなくなります。
音楽が好きで、マニアというほどではないものの、オーディオにも興味があるhisotaにはかなりショックでした。
午前中に入院が決まると、その足で病室に向かい、すぐ点滴開始です。
ステロイドの濃いやつ1本と、画像の生理食塩水にステロイド剤と別の薬品を混ぜたもの1本の、計2本を毎日打ちます。
病気の原因自体は不明なのですが、このステロイド剤投与がほぼ唯一の治療法であることは間違いないようです。
手遅れにならない(まだ治療効果が見込める)1週間以内に、一気に強い薬で治療しないと手遅れになり、その後は何をしても治療効果が出ない、というのがこの病気の特徴だと、書いてあることが多いですね。
そういう意味では、今回の主治医はセオリー通り、的確に最善手を採っているということが理解できました。
耳鳴りは、点滴開始後すぐに気にならないほどまで、なくなりました。
点滴を1週間続けた結果、低音しか聞こえなかった右耳も、やや高い周波数でも聞こえるようになりました。
これが退院直前のデータ。
4KHz程までは左右の差が無くなって、改善しています。
最も右の8KHz赤丸では右耳の感度がまだ悪く、いわゆるハイ落ちの特性です。
治療の効果が出ず、治らない方もいらっしゃるので、贅沢を言ってはいけませんが、完全治癒ではないですね。
生活するには支障がない程度に回復したが、一部に不具合が残った、というのが正しい評価ではないでしょうか。
故障したおんぼろ機械を修理したら、また使えるようにはなったが、新品の性能には戻らないということです。
退院後はステロイドではない薬で継続して治療しますが、発症から2週間後くらいの状態で感音レベルが固定してしまう(良くも悪くも変化しない)ようです。
退院後初回の検査と診察が11月24日にありましたが、その時のデータでも、8KHzでは左に比べて右はまだ10dBほど聴こえにくい結果でした。
まだ薬の投与は続きますが、発症から20日が過ぎ、このまま固まってしまうのでしょう。
後日、高血圧で通っている医者に話すと、一笑に付され、8KHzなんて歳とれば皆聞こえないよ、とのこと。
人間の可聴周波数が20-20KHzなんていうのは10代の、それも耳のいい子の話だそうです。
でも、俺の左は8KHzでも聞こえてるんだからね。
居間のミニコンポのスピ-カーを、欧州メーカーのブックシェルフスピーカーに替えたいと、価格コムで眺めながら夢見ていたのに、馬鹿らしくなってしまいました。安物で十分だね。
今回の難聴の治療について、主治医は有無を言わさず即入院の指示をしました。
この判断は最善手だったと感謝しています。
ステロイドは副作用のある強い薬なので、入院して常時監視することと、ストレスが原因という説が有力なので、世間から隔離して安静にさせる、という2つが入院の目的と想像しますが、本当にのんびりできました。
ドクターストップなんだから、と思えば罪悪感もないし、気兼ねなくストレス開放ができました。
スマホのアプリに聴力検査というのがあって、それで簡易な測定ができます。
こんな結果です。
ほぼ病院のものと同じ傾向が出たので、ある程度信用できるのですが、やはりハイ落ちは残ってますね。
私の聴力は、このまま固まってしまいそうですね。
ネットの受け売りと自分の経験とを、ごっちゃにして書きましたが、ネットに上がっている情報はほぼ間違いのないものでした。
歳を取ると、高音は加齢とともに聞こえにくくなるそうなので、右耳は人よりも先に老化したんだ、と観念してやっていこうと思います。
そのうちまわりも歳を取れば、追いついてくるでしょう。
もし、耳鳴りやめまいなど、こんな症状が出た方がこの記事を読まれたら、すぐに病院に行って治療を受けることをお勧めします。