自分探し
2007-07-05 | 教育
●さて、自分は一体何者、という疑問を持つのが高校2、3年生から大学1、2年生頃です。この間、いろいろの体験や学習をしながら、自分探しをします。決 断しなくともよい時期ということでモラトリアム期と呼ばれています。豊かな社会が諸君に与えている貴重な時間です。この間に、自分の能力、性格、さらに自 分を取り巻く社会についての認識を作り上げ、さらに自分にあった将来の進路、職業イメージを作りあげていきます。大学3、4年生くらいになると、「自分探 し」は終わります。「自我アイデンティティ(自我同一性)」が確立したとして、青年期が終わり、大人の社会へと仲間入りをします。
●以上は、青年心理学の教科書に書かれているオーソドックスな青年像です。ところが、ここ10年くらいの間に、こうした青年像がやや怪しくなってきまし た。いつまでもモラトリアムを続けてしまう若者が増えてしまったのです。少し細かくなりますが、関連する数字を挙げてみます。
●いわゆる「引きこもり」です。これが今、日本では、90万人くらいいます。ちなみに、この80%が男性です。別の数字です。フリーター、いわゆるアルバ イターです。これが、217万人。日本で、赤ちゃんが1年間にうまれる数が117万人ですから、その約2倍弱になります。さらにニート(就職もせず、学校 にも行かず、職業訓練もうけていない人)は52万人。これは、大学センター入試を受ける人数とほぼ同じです。さらに、ニートをタイプにわけると
* 目標がみつからないモラトリアム型 50%
* 就職できない/したくない型 40%
* 作家などをめざす夢追い型 10%
になるそうです(文部科学省)。
いずれも、ここ数年、増加傾向にある点が気になります。
●もっともこうした傾向は、日本の若者だけのことではありません。イタリアやドイツでは、もっと年季が入っています。最近は、中国・上海でも、ニートが増 えはじめているとのニュースもあります。