◆防衛機制/適応機制(defense mechanism)〔1991年版 心理学〕
S・フロイトの精神分析によると、快を求め不快を避ける快楽原理に従って欲求を放出しようとするイド、イドを現実に認められる現実原理に従って統制しようとするエゴ(自我)、エゴを社会のあるべき道徳によって監視するスーパーエゴ(超自我)の間のやりとりが適度なときに、感情生活は安定する。
防衛機制は、イドの力が強くなり、エゴが崩壊しそうなときに、エゴが自分を防衛するために使う様々な機制(メカニズム)である。恋愛を例にとると、ふられたときに、相手を実はそれほど好きではなかったと自分をなぐさめる(合理化)、ポルノ映画を見て性的欲求を発散させる(代償)、デートのときにおしゃれをしてくるのは自分のことを好きだからと思う(投影)、相手に子供っぽい手紙を書く(退行)、自分の気持ちが定まらないのに過剰な愛のあかしを見せる(反動形成)、世の中のためになることをしたくなる(昇華)などなど。いずれも、欲求不満に対処するために、ごく日常的に使う機制であるところから、適応機制とも呼ばれる。