心の風景 認知的体験

癌闘病記
認知的体験
わかりやすい表現
ヒューマンエラー、安全
ポジティブマインド
大学教育
老人心理

心の用語

2007-07-25 | 認知心理学
近年、心の科学は、心理学を核に、ますますその研究領域を拡大させている。たとえば、脳科学、遺伝学、精神医学、社会学、教育学、情報科学、経営学、経済学、犯罪学、統計学などなど。
 本辞典では、この認識のもとで、心理学用語を中核としながらも、可能な限り、心にかかわる諸科学はもとより、哲学、文学などの諸学問にまで用語選択の領域を広げてみた。
散漫にならないように、心理学用語は最新のものから歴史的な価値のあるものまで、また基礎領域から実践領域まで、もれなくきちんと拾い上げたつもりである。その上での上述のような工夫である。
そこに本辞典の大きな特徴がある。
 心の現実は学問の垣根をやすやすと越える。

絵文字がさらに3セット

2007-07-25 | 心の体験的日記
このブログには、絵文字リストが4セットある
今日、あらたに1セットが追加された
内容に会わせて使うのが王道であろうが、
そんな面倒は無理
自分は、適当に使っている
新しいセットの絵文字のサンプルは以下のようなものn

振り込め詐偽

2007-07-25 | 認知心理学
7章「振り込め詐欺」追加 海保 
「まとめ」
1)振り込め詐欺は、巧みな思いこませと説得の心理技法を使った犯罪である。
2)ひとたび、思い込みの世界に誘導されてしまうと、その世界が出るのが極めてむずかしいために、相手の言うがままになってしまう。
3)こうした犯罪にあわないためには、彼らの使う心理技法についての知識を豊富にして、思い込みの世界に入り込まない工夫が必要である。

「より進んだ学習のための読書案内」
○安斉育郎「だます心、だまされる心」岩波新書、2005年
日常生活から手品、科学まで幅広く、だましのテクニックや思い込みエラーの心を分析する。
○取違孝昭「詐欺の心理学」講談社ブルーバックス、1996年
具体的な詐欺犯罪を取り上げて、その心理を分析したもの。

「本章の課題」
1)過去に自分のおかした勘違い、思い込みエラーを3つ挙げて、その原因を分析してみよ。さらに、それが、エラーであることに気がついたきっかけは何だったかも考えてみよ。
「解答例」
1)いつもは車の少ない交差点で、直進車はこないものと思い込んで、前の車について右折したら、直進車にパッシングを受けてしまった。
2)うっかりミスと思い込みエラーの違いを2つ挙げて見よ。
「解答」
1) うっかりミスは犯した瞬間に気がつくことが多いのに対して、思い込みエラーはエラーをしていることに気がつかない。
2) 思い込みエラーは、行為の実行計画を立てる段階で誤ってしまうのに対して、うっかりミスは、行為を実行する段階で誤ってしまう。


集団思考

2007-07-25 | 認知心理学
◆集団思考(groupthink) 注groupthinkとくっつけると、集団愚考、浅慮の意味になる
「三人よれば文殊の知恵」ということもあるが、一方では、集団で考えたために結論の質が悪くなってしまうこともある。こちらのほうをあえて集団思考とよぶが、むしろ集団的浅慮の訳語のほうが、内容にふさわしい。集団思考の特徴としては、「マイナス面の無視」「決めたことの正当性の主張」「外の集団への敵対心」「同調への圧力」「自己主張の抑制」などを過度に行ってしまうところにある。集団が孤立したり、集団至上主義に陥ったり、他の集団との敵対関係が発生したりすると、こうした集団思考が働く。集団は、単なる個人の寄せ集めではなく、あたかも生身の人間であるかのような、独特のふるまいをする。集団思考はその典型のひとつである。

具体と抽象

2007-07-25 | 認知心理学
 海保 01/6
発想王をめざせ(6)「MIT」連載

キャリアアップのための発想術 培風館 より

具体と抽象
 2つの異質な世界を往復する

■頭を柔らかくするポイント
1)具体例で思考をシャープにする
2)抽象化によって鳥瞰図的な見方をする
3)具体と抽象の登り降りをする

●常套句「何か具体例がありますか」
 雑誌やTVの取材やインタビューを受けることがある。その中で必ず質問されるのは、「何か具体的な例がありませんか」である。
 話をわかりやすくしたり、説得的にするためには、抽象的な話ばかりではまずいということであろう。
 具体例は、適切に使われれば、話をわかりやすくするし、語りの内容をシャープにする。
 具体例は、こうした語りの場面だけでなく、思考を豊潤にするためにも役立つ。

●具体ー抽象のはしごを登り降りする
 人の思考は、具体と抽象の間を絶えず往復している状態がよい。
 我々のような研究者の場合で言うなら、モデルとデータの間の登り降りである。商品開発の場合なら、コンセプトと試作品の間の登り降りである。
 具体ばかりでは思考が硬くなる。抽象ばかりでは思考が甘くなるからである。

●抽象化すると
 抽象化は2つのステップを経て行なわれる。 まず、個別の具体の中に共通するものを抽出するステップである。
 次のステップは、その共通したものに、言葉(概念)を割り付けることである。このステップでは、当然、他の概念との関係のネットワークが構築されることになるので、関連する知識をどの程度持っているかが大事になる。豊潤な知識が豊潤な抽象化を生む。
 こうしたステップによる抽象化によって、より広い普遍的な観点から物事が鳥瞰(ちょうかん)できるし表現することもできるようになる。
 ただし、抽象化もどんどんその階段の上へ上へと誘惑するものを内在させているので、要注意である。だからこその、具体ー抽象の登り降りである。
 
●具体化すると
 具体化とは、概念を目に見えるように(イメージできるように)することである。
 「家具」のイメージは漠然としていても、「椅子」「座椅子」なら、簡単かつ鮮明にイメージできる。これが具体化である。
 具体化すると情報が増える。そこには、夾雑物も入っている。それにとらわれてしまうと、本質が見えなくなってしまう。具体の桎梏(しっこく)である。だからこその、具体ー抽象の登り降りである。

●適度の抽象度で
 人は横着である。登ったり降りたりはしんどいので、はしごの適当なところで腰をおろしていて、必要に応じて登ったり降りたりするのはどうかと考えるらしい。
 これが、適度の抽象度(具体度)という考えである。
 普段は適度の抽象度のところで思いをめぐらし、いったん事があるときだけ、上や下へ
思いを向けるわけである。

****本文62行


「具体表現と抽象表現」********
■具体表現の例---小説より
「中学は、緩やかな丘陵の途中にあった。生徒以外に人気はなく、サッカーのゴールポスト辺りにいつも鳥が群がっていた。」(桐野夏生著「柔らかな頬」講談社より)
■抽象表現の例---心理学の専門書より
「目標は行為をガイドする。とはいっても、内部目標は慣れた作業になるほど、目標をあらためて意識することがなくなる。目標の暗黙知化が起こる。これも、認知資源を有効活用するための怠けである。(拙著「失敗を「まあいいか」にする心の訓練」小学館文庫より)

「解説」
小説では、具体の細部に至る表現が勝負となる。臨場感を出すためである。これに対して、学問の世界は、抽象が勝負となる。論理性を構築できるからである。
 
クイズ1「具体ー抽象のはしごを登り降りしてみる」********
■次の概念の具体例を挙げよ。
○バブル崩壊
○構造改革

■次のそれぞれの具体例から抽象化すると、どのような概念を割り付けるのが適当か。

○「12歳少年、母親を刺す」「中学生3人組コンビニ強盗」
○「12歳少年、母親を刺す」「中学生の不登校急増」

「解説」
■「具体例」が即座に3つくらい思いつくようなら、概念の意味がよくわかっていることになるし、立派な語り手にもなれる。
○バブル崩壊の具体例
・4千万円で買った家が今3千万円になってしまった。
・周辺の空き地がいつまでも荒れ地のまま。
○構造改革
・公共事業の配分区分を変更する。
・意思決定の方法を変える
■「抽象化」は、最初のケースなら、「少年犯罪」、2番目になると、もう少し抽象度を上げて「少年の心の闇」とか「少年の異常心理」になる。
 

「絵」「具体ー抽象のはしご」************

       抽象
家具           

椅子           絵  「別添」

座椅子    具体   

「解説」
 はしごのイメージで、具体ー抽象の登り降りを表示してみた。左は、概念構造での具体ー抽象である。右は、ビジュアル表現での具体ー抽象である。