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行動経済学

2007-07-28 | 認知心理学
行動経済学 光文社新書
「経済人」という特別の人々をご存知だろうか?禁煙や禁酒やダイエットに失敗するなんてことはありえない。しょっちゅう電車の中に傘を忘れたり、ダブルブッキングをして友人を不愉快な気持ちにさせたり、当たるはずのない宝くじに大金を投じたりはしない。経済活動を行なっている人、つまりわれわれすべてがこのような人物であるという想定の下で、標準的経済学は構築されている。感情などに振り回されない、超合理的な経済人を扱う経済学は、どこか現実にそぐわない。感情、直感、記憶など、心のはたらきを重視し、私たちの現実により即した経済学を再構築しようとする新しい学問、「行動経済学」の基礎を、詳しく解説。
(Amazonより)

論理 万能ではないが、強力な道

2007-07-28 | Weblog


2006-02-10 09:01:52
論理 万能ではないが、強力な道
テーマ:認知心理学
発想王(21)海保
論理
 万能ではないが、強力な道具
ポイント********************************
1)仕事の中で論理的思考が大事になってきた
2)現実には、論理的思考よりも有効な思考方略があることを知る
3)思考は現実を越える力である
****************************************
●ロジカル・シンキングの本が売れている
 今、売れ筋本の一つに、ビジネスマン向けの論理的思考(ロジカル・シンキング)に関するものがある。
 論理的思考のようなやや硬い内容の本が、なぜ今売れるのであろうか。
 背景要因としては、職場での仕事のやり方が、終身雇用の崩壊と仕事のコンピュータ化によって、言わずもがなの暗黙知ベースから、明示的な形式知ベースに軸足を移すほうへと大きく変わってきていることがあるように思う(20回「マニュアル」も参照)。
 形式知では、論理すなわち「いつでもどこでも正しい」ことを保証するものが中核になる。そこで、論理を身につけたいとなっているのではないか。
●論理とは何もの
 アリストテレス(BC384ー322)の定言3段論法(クイズ1参照)というくらい、形式論理の発明の歴史は古い。
 そして、その論理学を、人の思考を鍛える道具として長年、教育の中で使ってきた。
その結果として、形式論理は、あたかもすべての論理的推論の正しさ、妥当さを決定づける唯一の道具であり、したがって、論理的に思考できないことは、人として不完全であり恥ずかしいことであるかのごとく考えられてきたようなところがある。
 しかし、形式論理は、人の推論のごく一部のみの特性に過ぎないことが、皮肉なことに、人の推論をコンピュータに真似させようとした人工知能の研究からみえてきたのである。
●人の推論は多彩
 現実世界では、形式論理だけでは、とてもではないが、生きていけない。
 なぜなら、一つには、現実世界は、その時その場で結論をただちに求めるからである。じっくりと時間をかけて論理的に考えてから、というのでは、現実のほうが先に進んでしまう。
 これに関連して2つには、現実世界の中での思考には、とりあえず結論を出してみてうまくいかなければ、もう一度考え直してみればよい、という簡便思考(ヒューリスティックス)方略が許されることが多いし、そのほうが結果としてはうまくいくことが多い。
 3つには、人が考えるときには、現実世界に関して蓄積されている膨大な知識を活用するほうが、形式論理よりはるかに認知的なコストが低いということがある。頭も横着なほうを好むのである。このあたりは、クイズ2で実感していただくことになる。
 とはいっても、だから形式論理は無用ということにはならない。人は、現実に制約されながらも、現実を越えて、さらに、現実を変える力も持っているからである。
****本文60行****
●クイズ1「形式論理を楽しむ」*******
次の結論は論理的に正しい(妥当)か
1)
前提 PならQである
条件 Pではない
結論 Qではない
2)「定言3段論法」(a)全称肯定のみ
前提 すべてのAはBである
   すべてのBはCである
結論 すべてのAはCである
3)「定言3段論法」(b)全称と特殊
前提1 すべてのAはBである
前提2 BのいくつかはCである
結論  AのいくつかはCである
「解説」
1)は誤り。2)は正しい。3)の結論は、正しいとも間違いとも言えない。
 1)の問題は、論理的には誤りだが、正しそうに見えるので、実際によく誤る。前件否定の錯誤と呼ばれている。
 2)はほとんど誰もが正しく推論できる。
限量詞「すべての」(全称)が推論を誘導している。
 3)は全称と特殊が混在している問題で推論の困難度が高い。
●図解「形式論理と心理論理」*********
図 別添
「解説」
 形式論理は真理を志向し、心理論理は現実適応を志向する。両者は一部は共有するところはあるものの、別々の内容と構造からなっている。
 
●クイズ2「知識が論理的思考に影響する」
次の結論は正しいか。
1)
前提 人は結婚すれば幸せになれる
条件 私は結婚しない
結論 私は幸せにはなれない
2)
前提 すべての教師は善人である
   すべての善人は人格者である
結論 すべての教師は人格者である
3)
前提1 すべての学生は怠け者である
前提2 怠け者でも運動する人はいる
結論  学生でも運動する人はいる
「解説」
 すぐに気がつかれたと思うが、この3つの問題は、クイズ1と論理構造は同型であるので、解答も同じことになる。
 しかし、記号PQが馴染みのあるものに変えられることで、論理的な思考が微妙に影響を受けることを実感してほしい。

心の研究小史

2007-07-28 | 認知心理学

●時代思潮が変わるから
研究法の多彩さをもたらす最後の要因は、やや曖昧な要因になるが、心についてのその時代、時代での考え方(時代思潮)が異なることによるものである。前述したように、心についての考えが変われば、当然、その研究法も異なってくる。
現代心理学を歴史的にみて、その時代思潮は、大きく4つに区切ることができる。
?心重視の時期(1879年から1913年)
はじめて心理学実験室を開設したブントの業績は多岐にわたるが、心理学研究法の観点からすれば、内観法によって心を「科学的に」研究しようとした業績を忘れることはできない。ブントは、心理学を直接経験の学と定義し、それを構築するために、心を直接、内観することから得られるデータを使おうと試みた。
 ブントにとって、実験も、厳密に統制された刺激が感覚・知覚に直接どのように経験できるかをできるだけ素直に内観させるための手段であった。それによって、内観データの主観性を克服しようとした。ブントの弟子・ティッチナーは、観察者の持つ知識が直接経験を汚染する(刺激錯誤)ことを防ぐため、観察者に観察の訓練さえしたほどだった。
 ブントよりやや遅れるが、この時期、もう一人、まったく別の心の領域に関心を寄せ、画期的なアプローチを採用した心理学者、精神科医がいる。それは、フロイト(Freud、S.,1878-1958)である。医学者としての訓練を受けたフロイトの基本的なスタンスは、因果関係重視の自然科学的なものであった。ヒステリーなどの神経症の発症の原因を無意識世界のリビドーの抑圧であるとして、その解放こそ治療のねらいであることを、豊富な症例で実証してみせた。もっとも、その実証は、後付け実証と呼ぶにふさわしいもので、実験的に検証可能な意味での実証ではなかったので、科学かどうかの評価は当時から分かれてはいた。
?行動重視の時期(1913年から1954年)
1913年は、ワトソン(Watson,J.B.,1878-1958)が「行動;比較心理学概論」を出版した年である。この年が、ほぼ半世紀にわたり続く心理学界における行動重視の時代思潮のはじまりであった。
 評価は今となっては、毀誉褒貶相半ばするが、行動主義が、厳密な自然科学足らんとして採用した刺激―反応(S-R)パラダイムは、実証科学としての心理学の地位を一気に高めた点では、異論を唱えないはずである。また、そのパラダイムに基づいて蓄積された知見の膨大な集積にも、その内容への評価はさておくとして、誰もが一定の敬意を表するところであろう。
?再び、心重視の時期(1954年から1985年)
 1937年、コンピュータが開発された。これが心を考える上での格好のモデルになることに気がついたのが、後にそう呼ばれるのだが、認知科学者であった。刺激と反応の関数関係を知ることに腐心することが科学であると信じきっていた行動主義心理学とは違って、心の中身(メカニズム)の解明に研究の関心を向けたのである。再び、ブントとはまったく違った意味での心重視の心理学の時代になったのである。行動主義に対して認知主義と呼ばれる。4章で紹介する心へのモデル論的アプローチが花開くことになる。
?心も行動もの時期(1979年より)
認知科学の中にも、心の世界だけを自閉的に研究しても、人の心はわからないとの認識が共有されるようになってきた。このような認識は状況論という新しい立場を生み出した。人を取り巻く状況との関係性にも目をむけて心を考えるようなってきたのである。
このきっかけになったのが、ギブソン(Gibson,J.J.)の生態学的視覚論(1979)である。彼は、アフォーダンスという考えを提唱し、外界にあって自然に人の行為を導く仕掛けの大事さを訴えた。
ここで、方法論的な多彩さが許容される雰囲気が醸成されることになる。それは、あたかも最先端科学が、最先端テーマを研究するために、斬新な方法論と技法とを開発するような雰囲気といってもよい。そのあたりの雰囲気は、7章,8章の質的研究法あたりで感じ取ってほしい。


最近とまどうこと 再掲

2007-07-28 | 心の体験的日記
最近とまどうこと
テーマ:大学問題
●教科書準拠の授業をしても、教科書を買わない学生が1割くらいる
  それほど困窮しているのかなー
●卒論の構想発表会に欠席する学生が1割くらいいる
  卒論の比重が低下はしているが、それにしても大胆だなー