時間ベースの習慣が基本
起きるべき時に起き、食べるべき時に食べることが生活の基本である。これが習慣化されないと、ほかの習慣形成もおぼつかない。
勘所は3つある。ひとつは自然な時間の流れにそった習慣になっているかどうか、もう一つは、いつもの時間でいつものことをする習慣になっているかどうかである。この両者は、子どもでは一致しているのが望ましい。
自然な時間の流れとは、たとえば、起床時間。日の出と一緒に起きるのは農耕社会ならいざ知らず、学校へ行く子どもでは早すぎて不自然である。子どもが学校に行くために家を出るまでゆとりを持ってあれこれできる時間あたりが自然な時間になる。
時間には、時計時間、脳(体内)時間、気象(太陽)時間、そして心理的時間の4つがある。その間に齟齬があるのは自然ではない。たとえば、睡眠時間をたっぷり10時間とっても、気象時間を極端に無視すれば、無理が生じてしまう。あるいは、一心不乱の遊びを15分しか許さないのは、心理的時間を無視していることになる。
もう一つの、規則正しい習慣とは、時間とすることとが決まっていることである。要するに、定常的なスケジュールに従って生活していることである。低学年は小刻み、高学年になるほど大まかスケジュールが基本である。
なお、自然で規則正しい時間ベースの習慣作りに際して大事なのだが忘れられがちなのは、心理的時間への配慮である。たとえば、つらいこと、いやなことは、心理的時間が長く感じられるので、習慣づけの最初の頃は、時計時間は短くしなければならないといった配慮である。
時間ベースの習慣形成に関して3つ目の勘所は、タイムリミット感覚とワークリミット感覚の問題である。言うまでもなく、時間ベースの習慣形成は、いついつまでに何をする(タイムリミット)感覚に依存する。この感覚が養成されないと、習慣形成はおぼつかない。
そのことは大事なのだが、生活すべてにわたってのタイムリミット感覚の養成をめざすのは危ない。生活領域によっては、むしろ時間を忘れてやりたいだけやる、満足できる水準までやる、というワークリミット感覚の体験も入れる必要がある。そこには、子どもの創造性を発揮させる場が用意されるからである。たとえば、本を読む、工作をする、絵を描く、スポーツをするなどなどの領域では、ワークリミットを大切にしたいものである。