5-2)とっさに動く
●危険を避ける
技能ベースの行為は、反射的行為と長期間の訓練(学習)によって獲得されたものとの2種類がある。後者については、手続き的知識に基づいた行為として2章で述べたので、繰り返さない。ここでは、反射的行為とミスとの関係についてのみ取り上げてみる。
物が目の前に飛んでくれば、さっと避ける。火の熱さはさっと避ける。これらは、生まれつき人に備わった反射(生得的反射)である。身を守るために神が与えてくれたものであろう。
こうした緊急回避行動をさせるシグナルは、急速に近づくもの、大きな音、強烈な強さの刺激など、状況の中で際立っているものである。
緊急回避行動は、誰もが身につけている行動ではあるが、行動のほうの敏捷さには個人差がある。スポーツに親しんでいる人や若者は緊急回避行動に優れている。
安全教育の一つとして、緊急回避行動の力を養う、というより知るために、正田亘氏は「五感の体操」(学文社)を提案しているが、レクレーションも兼ねての導入があってもよい。そのいくつか。
・ドッジボールを通してどちらに逃げるかを知る
・棒が落ちる前にすばやくつかみ敏捷性を知る
・二人三脚で走ってみて人との共同動作ができるかを知る
反射も使わないとなまる。こうした遊びを継続的にすれば、多少は磨きがかかる。とっさの行為が身を救うことがあるから、馬鹿にはできない。
なお、反射的行為については、前項で述べたような、認知と行為のそごはない。そうしなければならない状況(刺激)があれば黙っていても身体が動くことになる。
●とっさの行為を体験を通して学ぶ
生得的反射は、刺激と反応とが一対一に対応している。それを支えているのは、反射弓と呼ばれる神経回路である。
これに対して、同じ反射でも、過去の体験によって形成されたものもある。それが、条件反射である。
・高いところに登ると恐怖感にかられてしまう
・蛇が嫌い
・モーツアルトを聞くとリラックスできる
こうした行為は、生得的反射とは違って、過去の体験によって学習されたものである。
たとえば、蛇嫌い。母親に抱かれて散歩していた。突然、蛇が目の前を横切る。母親はびっくりして抱いているあなたをぎゅっと抱き締める。これで、あなたは、蛇と怖さを結びつけてしまう。
条件反射は、過去の自然の体験によって学習されるので、その学習をしていない人は、身につけていない。蛇を怖がる人もいれば、蛇をペットにする人もいる。
さて、安全と条件反射との関係について。
言うまでもなく、安全を保証する条件反射的な行為のレパートリーを豊富にすればよい。たとえば、
・ストップサインでは、必ず止まる
・警報が鳴ったら、ただちに機械の停止ボタンを押す
・赤色を見たら、止まる
条件反射的な行為の形成には、生得的反射と対にして新しい状況(刺激)と行為との連合を体験することが必須である。ストップサインで止まらないと危険が及ぶことを体験させる必要がある。そこが難しいのだが、恐怖体験などなら一回の体験で条件反射が形成できる。
図5ー3 条件づけの図式 ppt 済み
なお、条件反射的なとっさの行為は、状況依存的なので、職場が変わったり、新しいシステムに変更されたりした時には、やらずもがなのことをしてしまうミス(実行エラー)が起こる可能性があるので注意が必要である。
●危険を避ける
技能ベースの行為は、反射的行為と長期間の訓練(学習)によって獲得されたものとの2種類がある。後者については、手続き的知識に基づいた行為として2章で述べたので、繰り返さない。ここでは、反射的行為とミスとの関係についてのみ取り上げてみる。
物が目の前に飛んでくれば、さっと避ける。火の熱さはさっと避ける。これらは、生まれつき人に備わった反射(生得的反射)である。身を守るために神が与えてくれたものであろう。
こうした緊急回避行動をさせるシグナルは、急速に近づくもの、大きな音、強烈な強さの刺激など、状況の中で際立っているものである。
緊急回避行動は、誰もが身につけている行動ではあるが、行動のほうの敏捷さには個人差がある。スポーツに親しんでいる人や若者は緊急回避行動に優れている。
安全教育の一つとして、緊急回避行動の力を養う、というより知るために、正田亘氏は「五感の体操」(学文社)を提案しているが、レクレーションも兼ねての導入があってもよい。そのいくつか。
・ドッジボールを通してどちらに逃げるかを知る
・棒が落ちる前にすばやくつかみ敏捷性を知る
・二人三脚で走ってみて人との共同動作ができるかを知る
反射も使わないとなまる。こうした遊びを継続的にすれば、多少は磨きがかかる。とっさの行為が身を救うことがあるから、馬鹿にはできない。
なお、反射的行為については、前項で述べたような、認知と行為のそごはない。そうしなければならない状況(刺激)があれば黙っていても身体が動くことになる。
●とっさの行為を体験を通して学ぶ
生得的反射は、刺激と反応とが一対一に対応している。それを支えているのは、反射弓と呼ばれる神経回路である。
これに対して、同じ反射でも、過去の体験によって形成されたものもある。それが、条件反射である。
・高いところに登ると恐怖感にかられてしまう
・蛇が嫌い
・モーツアルトを聞くとリラックスできる
こうした行為は、生得的反射とは違って、過去の体験によって学習されたものである。
たとえば、蛇嫌い。母親に抱かれて散歩していた。突然、蛇が目の前を横切る。母親はびっくりして抱いているあなたをぎゅっと抱き締める。これで、あなたは、蛇と怖さを結びつけてしまう。
条件反射は、過去の自然の体験によって学習されるので、その学習をしていない人は、身につけていない。蛇を怖がる人もいれば、蛇をペットにする人もいる。
さて、安全と条件反射との関係について。
言うまでもなく、安全を保証する条件反射的な行為のレパートリーを豊富にすればよい。たとえば、
・ストップサインでは、必ず止まる
・警報が鳴ったら、ただちに機械の停止ボタンを押す
・赤色を見たら、止まる
条件反射的な行為の形成には、生得的反射と対にして新しい状況(刺激)と行為との連合を体験することが必須である。ストップサインで止まらないと危険が及ぶことを体験させる必要がある。そこが難しいのだが、恐怖体験などなら一回の体験で条件反射が形成できる。
図5ー3 条件づけの図式 ppt 済み
なお、条件反射的なとっさの行為は、状況依存的なので、職場が変わったり、新しいシステムに変更されたりした時には、やらずもがなのことをしてしまうミス(実行エラー)が起こる可能性があるので注意が必要である。