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『改めて日本語を考える』その49。久しぶりの企画、実は今年2月以来である。この企画、色々な分からないことがあった時にとことん調べたことを書くのだが、ついついメモを取り損なってしまうため、なかなかブログにならない。
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今回は『鯖の文化干し』の文化とはなになのかがメインテーマ。吉祥寺のアトレにも塩干物を売る店がある。ここで連れ合いがひとこと、『鯖の味醂干しは味醂につけて干した物だけど、鯖の文化干しはどのように作ったの?』がスタート。確かに『文化干し』は定食屋に行くと人気のあるメニューだが、なぜここにわざわざ『文化』という言葉が入っているのか。
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ネットで調べると1950年に『東京仙印商店』という会社が魚の干物をセロファンで巻いて販売したのが嚆矢(今も現役の会社で干物を売っている)。まだサランラップもない時代に見た目が美しく、梱包方法が画期的であったため、当時先端を行っている事象によく使われた『文化的』から派生した『文化干し』と表現したのが由来らしい。つまり、鯖の干し方ではなく、包み方が付いた名前なのである。
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今は文化干しの名前だけが残り、天日干しでなく、冷風乾燥機で人工的に作った干物を指している。『鯖の天日干し』に対しての『鯖の文化干し』なのだ。
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『文化』という言葉は大正から戦後にかけて『新しいもの』『モダンなもの』『欧米の影響を受けたもの』によく使われた。今の人は知らないだろうが、他にも『文化住宅』『文化鍋』『文化包丁』などがある。
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『文化住宅』は1922年上野にて平和記念東京博覧会が開かれ、展示の企画として『文化村』が作られた。モダンかつ合理的な住まいを表すモデルルームだったが、昭和に入り、和風住宅の玄関脇に洋風デザインの応接間を併設するスタイルを『文化住宅』と称して東京近郊(世田谷や杉並)で販売し、ブームになった。
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一方で関西では1950年代に新築された集合住宅で各部屋にトイレ・台所・風呂を併設したものを『文化住宅』と呼ぶケースもあった。
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『文化鍋』はアルミニウム合金を鋳造した深鍋で蓋が鍋の縁より2or3cm低い位置に収まるようになっていた。
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ムラなく煮炊きできるよう工夫され、『かまどと釜』から『ガスレンジと文化鍋』による変化に伴い、炊飯を手軽で画期的な手法出会ったことから、ガスレンジ普及と共に家庭に広がった。大きな釜で薪を燃やして炊いていたご飯をガスレンジで手軽に炊くには便利だったのである。
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『文化包丁』は三徳包丁とも呼ばれ、多目的性を志向した家庭ではポピュラーな包丁である。両刃の包丁であり、三徳とは三つの用途、即ち肉・魚・野菜のいずれを切るのにも適している。これに対し、野菜は菜切包丁、魚は出刃包丁、肉は牛刀という専門性の高い包丁がある。
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ここでふと気づいた。なんとなく『文化』という言葉を使っているが、『文化』の定義は何なのか。『文化の日』はなぜ祭日なのか、いろいろことがさらに気になってしまいました。今回はこのあたりで。
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ちなみにこの鯖は天日干しです。