『関東三十六不動尊巡り』⑯、今回は第十七札所等々力不動尊を訪れた。正式名称は瀧轟山(りゅうごうさん)明王院である。
東急大井町線等々力駅を降りて左手に向かう。有名な等々力渓谷はすぐのところにあるが、倒木の虞があるため、現状は川沿いの道を歩くことはできない。(通行止でなければ、川沿いに歩いても不動尊の下に行くことは可能)せっかくなのでゴルフ橋まで行って渓谷を上から眺めるが、やはりまだ通行止は解除されていなかった。
まっすぐ行くと左側から目黒通りが合流してきてそのまま環状8号線を越えると下り坂になる。
少し行くと右手に本堂が見えてくる。実は駅の北側にある満願寺の別院となっていて拝殿、山門はともに満願寺から移築されたものである。
山門をくぐると正面に本堂があり、等々力不動尊と大きく書かれた提灯が特徴的である。その横に納経所があり、こちらで御朱印を頂く。
さらにここで不動明王のおみくじ、可愛らしい不動明王様の中におみくじ、ありそうでなかった逸品、もちろん買いました。(500円)
左手脇の階段を降りるのだが、境内にはイチョウの大きな木があり、石段には黄色く染まった葉と銀杏がおちている。
階段の途中右手に役行者を祀った神変窟、さらに降りて行くと不動滝が現れる。滝と言ってもあまり水量は多くないが、ここは都内世田谷区である。
地蔵菩薩と聖観音が祀られていて、その奥には不動明王像が安置されている。目の前には谷沢川が流れていて、厳かな雰囲気を醸し出す。
この滝は1000年の間に涸れることなく、水を落としていて、約800年前に興徳大師が夢を見て、武蔵国に不動明王を安置する場所を探し、当時の豊富な水量を流すこの滝をみて霊地と悟り、不動堂を建立したと伝わっている。
すぐ前にある建物が真言密教の道場である宝珠閣。休日には休んで抹茶を飲むことができるよだが、この日は時間も遅かったため、もう閉まっていた。
再び階段を登り、舞台の上から川の方向を眺めると渓谷が木の間から見ることができる。節分にはここから豆を撒くらしい。納経所の前に外国人の青年が何か困ったような顔でうろうろ、私しかいないためそばに寄ってきて翻訳機で‘5円玉お持ちじゃないですか‘と尋ねられた。財布を見るとちょうど5円玉は切れていてない旨話すとガッカリしていた。50円玉ならあると聞くが、ソーリー、サンキューと言われて諦めたようだ。どうもお賽銭に使おうとしたが、納経所に人がおらず、困って聞いてきたらしい。その後、彼は本堂にお参りに行った。それにしても、外国人の若者がお賽銭に5円玉を知っていることに驚いた。
秋の日は早く暮れる。ようやく秋らしくなってきた等々力不動尊を後に駅に向かった。よく見ると等々力駅も歴史があってなかなか面白い。