たまには相撲ネタ。9月24日に大相撲9月場所は貴景勝と熱海富士の優勝決定戦の結果、貴景勝が引き落としで勝ち、4回目の幕内総合優勝を納めることで終幕した。
大関vs前頭15枚目の争いとなった訳だが、胸を出して然るべきである大関が注文相撲(決り手ははたき込み)を行なったことに賛否両論。読売新聞は比較的貴景勝に好意的な記事を書いていたが、朝日新聞などは本当に優勝したのかと思えるほど切り捨てる記事。
何しろ大きな題字に『動いた貴景勝 はたいてV』と何か悪いことでもしたように書いている。優勝インタビューで『絶対負けられない。強い気持ちでやりました。』と答え、拍手は起きたがそれまでは場内はため息とどよめきに包まれていたとある。
また、審判部長の元関脇琴ノ若は『(決定戦で)ああいうのは見たくなかった』とこき下ろし、八角理事長に至っては『本割で精魂尽きたってところだろう』と発言している。
しかし、いずれも日本相撲協会の本音ではないだろう。3月場所で霧馬山が優勝し、大関に上がり、7月場所で豊昇龍も優勝し、大関に上がった。それなのに今場所大関が優勝できなければどうなっているのか批判されかねない。残る大関は霧島が9勝6敗、豊昇龍に至っては最後の2日連勝して8勝7敗とギリギリの勝越しである。
千秋楽の取組を見てみると3敗の熱海富士が元大関の朝乃山、4敗の北青鵬(前頭11)が大関豊昇龍、高安(前頭7)が大関霧島、どう考えても北青鵬と高安が負け、熱海富士vs貴景勝となることは見え見えである。
あまり報道されていないが、実は大関貴景勝はとにかく決定戦に弱い。2019年9月場所では貴景勝(当時関脇)は御嶽海(同)に敗れ、2021年5月場所では照ノ富士(横綱)に敗れ、2022年11月場所では巴戦になり、阿炎(当時、前頭9)に敗れ、3連敗中だったのである。
協会がバックアップして大関貴景勝の優勝の道を作ってやり、苦手な決定戦に勝ち、横綱に再挑戦とのイメージ作りを仕掛け、これがハマったのである。ただ、決定戦であのような相撲で勝つことは計算外であったが。
おかしな点は他にもある。以前某NHK解説者が『(貴景勝は)唯一の日本人大関なのだから皆で盛り上げないと』と発言したことを聞いたことがある。しかし、大相撲は世界に門戸を開いているはずで、如何にモンゴル人力士ばかりになってもいまさら何をいうのかとしか考えられない。
ウルトラマンのように1番取っただけでカラータイマーが点滅するような大関を協会が無理に応援しようであれば、ますます大相撲の将来は暗いとしか言いようがない。もし、大相撲解説者の北の富士さんが解説していたら今回の優勝決定戦を何と評しただろう。気になるところだ。