hokutoのきまぐれ散歩

ブログも12年目、4000日に到達。ネタ探しはきついけどまだまだ毎日更新を続けるつもりです。

残念な⁈優勝〜日本の国技について考える

2023-09-26 05:00:00 | 相撲
たまには相撲ネタ。9月24日に大相撲9月場所は貴景勝と熱海富士の優勝決定戦の結果、貴景勝が引き落としで勝ち、4回目の幕内総合優勝を納めることで終幕した。

大関vs前頭15枚目の争いとなった訳だが、胸を出して然るべきである大関が注文相撲(決り手ははたき込み)を行なったことに賛否両論。読売新聞は比較的貴景勝に好意的な記事を書いていたが、朝日新聞などは本当に優勝したのかと思えるほど切り捨てる記事。

何しろ大きな題字に『動いた貴景勝 はたいてV』と何か悪いことでもしたように書いている。優勝インタビューで『絶対負けられない。強い気持ちでやりました。』と答え、拍手は起きたがそれまでは場内はため息とどよめきに包まれていたとある。

また、審判部長の元関脇琴ノ若は『(決定戦で)ああいうのは見たくなかった』とこき下ろし、八角理事長に至っては『本割で精魂尽きたってところだろう』と発言している。

しかし、いずれも日本相撲協会の本音ではないだろう。3月場所で霧馬山が優勝し、大関に上がり、7月場所で豊昇龍も優勝し、大関に上がった。それなのに今場所大関が優勝できなければどうなっているのか批判されかねない。残る大関は霧島が9勝6敗、豊昇龍に至っては最後の2日連勝して8勝7敗とギリギリの勝越しである。

千秋楽の取組を見てみると3敗の熱海富士が元大関の朝乃山、4敗の北青鵬(前頭11)が大関豊昇龍、高安(前頭7)が大関霧島、どう考えても北青鵬と高安が負け、熱海富士vs貴景勝となることは見え見えである。

あまり報道されていないが、実は大関貴景勝はとにかく決定戦に弱い。2019年9月場所では貴景勝(当時関脇)は御嶽海(同)に敗れ、2021年5月場所では照ノ富士(横綱)に敗れ、2022年11月場所では巴戦になり、阿炎(当時、前頭9)に敗れ、3連敗中だったのである。

協会がバックアップして大関貴景勝の優勝の道を作ってやり、苦手な決定戦に勝ち、横綱に再挑戦とのイメージ作りを仕掛け、これがハマったのである。ただ、決定戦であのような相撲で勝つことは計算外であったが。
おかしな点は他にもある。以前某NHK解説者が『(貴景勝は)唯一の日本人大関なのだから皆で盛り上げないと』と発言したことを聞いたことがある。しかし、大相撲は世界に門戸を開いているはずで、如何にモンゴル人力士ばかりになってもいまさら何をいうのかとしか考えられない。

ウルトラマンのように1番取っただけでカラータイマーが点滅するような大関を協会が無理に応援しようであれば、ますます大相撲の将来は暗いとしか言いようがない。もし、大相撲解説者の北の富士さんが解説していたら今回の優勝決定戦を何と評しただろう。気になるところだ。

『吊り出し』はレアな決まり手になったのか〜大相撲雑感

2022-02-05 05:00:00 | 相撲
このブログで大相撲の話題を書くのは初めてだが、実は子供の頃よりTV中継をよく見て育った。一番好きだった力士が初代貴乃花、あれだけの細い身体で大きな力士相手に五分に渡り合うのがよかった。彼は低い体勢から立ち会いをして、何とかまわしを掴み、頭を付ける体勢が得意だった。

実は珍しいことに2022年初場所は見る機会が多かった。風邪をひいて休んだこともあるのだが、両大関はともかく、横綱照ノ富士と関脇御嶽海の活躍に平幕の阿炎が絡むという三すくみがよかったのかもしれない。

ただ、子供の頃見ていた頃と今の相撲は随分違う。まず、最も変わったのは力士の大きさだろう。
昭和の時代には100kgに満たない力士でも充分勝てる余地があった。例えば2021年の大相撲の決まり手は1位押し出し、2位寄り切り、3位叩き込み、4位突き落とし、5位寄り倒し、6位突き押しの強い力士の決まり手ばかりである。逆にかつてよく見たとったりは19位(52回)、吊り出しは33位(17回)、うっちゃりは37位(14回)と極めて少ない。比較のために1968年の統計を見てみると1位寄り切り、2位押し出しは同じだが、3位寄り倒し、4位上手投げ、5位吊り出しとかなり違う。特に『吊り出し』は当時よく見る技であった。 

昭和43年というと私は10歳、当時は横綱が佐田の山・柏戸・大鵬、大関が玉乃島・北の富士・琴桜・豊山、関脇が清国・前の山と錚々たる力士がいた。一方で小兵の力士は海乃山、藤の川、明武谷、睦奥嵐など結構いたものである。

私が当時注目していたのは、個性的な若浪というソップ型の力士。とにかくうっちゃりや吊り出し、上手投げを最初から狙ってくる強者。この春場所は2横綱が休場したこともあり、前頭8枚目の若浪が13勝2敗で幕内総合優勝したのだが、面白いことに若浪は大関以上には当たらないままの優勝だった。

100kgギリギリの小兵力士だった若浪はトレードマークが長いもみあげ、腕の力が強く、押されると滅法弱い。彼の幕内351勝のうち、吊り出しが80、うっちゃりが56、上手投げが38と今ではほとんど見られない決まり手で勝負する職人気質の力士であとた。

吊り出し

うっちゃり

別に『ねこだまし』などサーカス相撲が好きな訳ではないが、個性派、今でいうと宇良、翔猿、炎鵬(十両)といった力士が活躍するのも大相撲をさらに面白くさせるのではないかと思う。翠富士のような『肩透かし』を決め技に持つ力士も嬉しいところである。


まあ、当時外国人力士は高見山しかいなかった時代だから今とあまり比較にもならないかもしれないが。私的には当時の方がワクワクしたように思える。