私が吉祥寺で一番よくお邪魔した蕎麦屋さんが閉めることになったと娘から聞いたのが11月上旬。ゴルフなどで週末が使えず、機会に恵まれなかったが、昨日ようやく伺うことができた。
店の名前が『よしむら』、その由来は店主の苗字などではなく、吉祥寺村の最初と最後を取ってつけたのだという。
店は吉祥寺駅前から末広通りをトコトコ、井の頭通りとの交差点手前、昔の前進座の斜め向かいくらいにある。店は古く、かれこれ80年くらいというから、現存する吉祥寺の飲食店では最古参の一軒かもしれない。有名人も多く、最近ではシティボーイズの某氏が奥様連れで来ていたのにも遭遇したことがある。
店は古民家風、実は実際の古民家なのかもしれない。他の蕎麦屋さん同様に単に夕食に日本蕎麦を食べにくる人と一杯呑んで締めに蕎麦をたぐる人の2種類がいるが、後者が断然多い。
ちなみに私も後者の類で、ハートランドで乾杯し、まずは名物のだし巻きからいただく。あまり甘くない卵焼きに銀あんと青ネギがかかり、大根おろしが添えてある。単純なのだけど出汁が効いて美味い。
さらに『鴨の陶板焼き』、厚切りの鴨ロースを鴨の脂で焼いた一品、塩とレモンでいただくが、じわっとでてくる鴨の脂と旨味、さらにこの脂で焼いた長ネギやシシトウが酒のつまみに最高である。申し遅れたがまずは手取川(石川県)といただく。
次は『天だね』、えのき茸、ピーマン、ナス、さつまいも、レンコン、海老が乗っている。特にえのき茸のぱりぱり感、さつまいもの甘さ、ついつい酒も空になり、次は南(高知県)に移る。
これで止めればいいのだが、最後に板わさであと1合。翠玉(秋田県)でじっくり楽しむ。そして締めの蕎麦。さらしなが『吉祥寺』、田舎蕎麦が『開田』というネーミングだが、私はいつもの吉祥寺にする。
ここの蕎麦は細打ち、透明感とコシがあり、やや濃いめの蕎麦つゆによく合う。蕎麦とつゆがいずれも高めあっているのはあるようでなかなかない。
まだまだ続いて欲しいのだが、この店もあと1カ月、これから蕎麦が食べたくなったらどうしようと思い始める。まあ、その前にもし機会があればまた伺いたい店である。
よしむら
武蔵野市吉祥寺南町2ー29ー8
0422431717