以前からこのブログでも時々取り上げているが、四谷三丁目は日本酒好きにはこたえられない店が多くある。加えて三栄町や舟町あたりの風情は昔ながらの町ならでは。しかし、そんな中に新たにできた店もうまく調和を取っている。
今回お邪魔したのは杉大門通り沿いのビル3階にある『舟町 一期』である。ビルの入り口には看板はあるが、3階には看板もでていない大人の隠れ家風の店。店に入ると板さんの元気のいい声に迎えられる。ボックスが3つ、カウンターを男性2人で切り盛りしている。
今日は最近銀行を卒業した後輩のAくんと飲む。まずは生ビールで乾杯、突き出しは鮭と野菜の煮物、ほっとする味である。1週間もこの1杯のために頑張ってきた気分になる。
初めての店はやはり注文するのに手間取るが、まずは『鯖の燻製』『刺身盛り合わせ』『煮穴子の炙り』『桜海老のかき揚げ』を注文。すぐに鯖の燻製が登場するが、長細い黒皿に鯖の燻製が5切れ、脂ののりも良く、美味い。ここで酒をお願いするが、メニュー以外もかなり種類があるらしく、何本か出してもらう。
お店の人が羽根屋(富山県)を勧めたのでお願いすると可愛らしい片口にいれて供される。
すぐに刺身が来るが、1人ごとに盛り分けられていて、さらに2段式。初めは鱧の落としに鱧のスープのジュレを掛けたもの。梅ソースが付いてきて、夏だね〜と思わせる逸品。
続く第2弾は鰹、アイナメ、しめ鯖、昆布締めのカレイ、アジの5種の魚。醤油皿が2つ、山葵と生姜の味を楽しめるのが嬉しい。そして、魚、特に昆布締めには羽根屋はよく合う。
次に煮穴子の炙り、この店の料理は味ももちろんいいが、目でも楽しませてくれる。酒は七ロ万(福島県)、夏らしい酒でラベルも涼やか。
さらに桜海老のかき揚げはサクサク感があり、穴子のしっとりの次にはもってこい。手前に散らした岩塩が甘みもあり、これだけ舐めても酒が進む。
ここでスタッフ氏は熊本のれいざんという地元しか中々出回らない酒を勧めてくれる。阿蘇の伏流水と山田錦の相性が良く、上品に仕上がっている。
追加で『鳥唐揚げ』『出し巻き』『そら豆炙り』を注文。そのあと『つきよしの』(長野県)を飲むが、少し粗さはあるが、若々しい飲みごたえがある酒。
最後に今日届いた小左衛門(岐阜県)の純米大吟醸うすにごり『うすらひ』を出してもらう。いや、この酒は初めて見たがねっとりした味わい深い旨味のある酒で今日飲んだ中では最高。なかなか、市場には出ない酒らしいが、これはまた是非飲みたい酒であった。おあいそのあと多忙な中、板さんにまで送りに出てきてもらい、恐縮。居心地も料理のセンスもいい、割烹的な良さのある店に大満足。気がつくと男同士は我々くらいで、確かに周りはほとんど大人のカップルばかりであった。
舟町一期
新宿区舟町5ー25 3階
0362730277