『夏旅の晩餐』②、奈良での2泊目はANDOホテル奈良である。このホテルは元は『遊景の宿 平城』という老舗ホテルであった。これが今の経営に変わり、リニューアルオープンしたのが2020年7月、若草山ドライブウェイに入って少し入った小高い丘の上にある。ロビーからは大仏殿をはじめ、奈良の街の全景を臨むことができる。
夕食はロビー横のレストランにて。ナイトツアーがあるため、17時半スタートでまだ明るい。席に座ると外がよく見える。まずはウェルカムドリンクのシャンパンで喉を潤おし、次に温かいお出汁がグラスに出てくる。温かいものを最初に腹に入れるといい。
前菜は3品、金糸瓜(そうめんかぼちゃ)にそら豆のペースト乗せ、玉蜀黍の寄せものにシャンパンの泡をかけたもの、無花果と鰻を卵豆腐に乗せたもの、とかなり凝ったもの。
シャンパンの泡と鰻の旨さが際立っていた。これをビールを飲みながら頂く。
赤馬鈴薯の摺流し、浮き身は生の帆立。色がピンクで驚かされるが和製ビッソワーズである。
日本酒に変えてまずは篠峯(奈良県御所市)、爽やかで飲みやすい。次はサラダ風刺身、間八と炙りの太刀魚をサラダ風にしてサルサ風のソースをかけたもの。
冷やして食べるからの連想だろうが、あまり魚、特に太刀魚はあっさりし過ぎて合わないような気がした。
ここで登場したのがフィンガーライム、私は初見である。明太子のように潰してライムの小さな粒々を出して食べるとライムの独特な香り。かなり酸っぱいが爽やかである。
茄子、冬瓜、皮をパリパリに仕上げた甘鯛をシーザーサラダ風のソースでいただく。ソースはあまりつけず焼き野菜と甘鯛、さらにニンジンなどを頂くが、とにかく美味い。2杯目の酒は風の森(奈良県御所市)、独特の香りや味が大好きな酒である。
メインは雲丹出汁を温めて、これに水菜などの野菜を入れて煮る。ここに大和牛を入れてしゃぶしゃぶでいただくが、タレも肉もいいのだから不味いわけがない。美味かった。さらに残った出汁を使いリゾットにして頂く。これも美味い。贅沢なしゃぶしゃぶである。
かなり腹一杯なのだが、ここで三輪素麺。温玉とエビと共にジュレがかかっている。個人的には昼食べたぶっかけ素麺の方が好きだ。
最後のデザートは桃、ヨーグルトアイスなどで作った一皿。連れ合いが喜んでいた。桃のコンポートはいつ食べても美味い。
これだけの食事を90分、かなり忙しかったがかなり頑張って工夫したコース。凝過ぎという意見もあるが、雰囲気もよく、連れ合いも満足していたからよかった。