天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画】「15時17分、パリ行き」@8本目

2018年03月01日 | 映画感想
「15時17分、パリ行き」

クリント・イーストウッド監督最新作。
前作「ハドソン川の奇跡」に続き本作も実話の映画化なんですが…この事件の事ほとんど覚えてないんだなぁ(苦笑)

ところで、自分は基本なるべく映画鑑賞前に作品の情報を仕入れないで観るようにしているんですが(予告編を劇場で観る程度)
本作も短いバージョンの予告編を1回か2回観たかなー?程度で殆どなーんも知らずに鑑賞しましてね、
主人公の3人の青年を演じている役者さんに全く見覚えがなくて「無名の役者さんを起用して発掘って感じ?」と思ってたんですが
家帰って来て今このレビュー書く為に公式サイト見てぶっ飛んだわ。
なんと、この主人公の3人組…ご本人さんが演じてらっしゃったのね!そればかりかテロが起こった車内の乗客等も極力当時の事件に巻き込まれた
乗客さんに参加して貰っているんだそうで、要するに本作は「ご本人さん達による事件の再現映像」という体になる訳でしてw

あらすじ…面倒臭いのでシネマトゥデイの解説文丸々コピペします~^^;
2015年8月21日、554人の客が乗るアムステルダム発パリ行きの高速鉄道タリスに、武装したイスラム過激派の男が乗り込み無差別テロを企てる。
乗客たちが恐怖に凍り付く中、旅行中で偶然乗り合わせていたアメリカ空軍兵スペンサー・ストーンとオレゴン州兵アレク・スカラトス、
二人の友人の大学生アンソニー・サドラーが犯人に立ち向かう。 (以上、シネマトゥデイさんから抜粋)

↑上のあらすじは単に2015年に起こったテロ未遂事件に対する概要なだけで、本作はこのテロ事件自体よりもテロ事件を食いとめた勇気ある3人の若者の
それまでの半生が半分、そしてこの事件に至るまでの彼らの旅の様子を見せているロードムービー部分が半分、という感じでテロ事件自体は
割とアッサリとカタが付くので予告編で無駄に煽っているようなサバイバル感とかサスペンス色は実はほとんどないのです^^;

本作の重要な部分は「彼ら3人が実は子供の頃から落ちこぼれのいじめられっこだった」という事と、そんなヘタレな彼らがどうしてこんな凶悪事件に
真正面から立ち向かえたのか、という事だと思うんですね。
彼らの生い立ちを小学生時代から追って見せているんだけど、とにかく学校の問題児でしょっちゅう母親は学校に呼び出し食らってるし
担任教師からは「お宅の息子さん達はADD(注意欠陥障害)だから薬を服用させろ」と言われて、ブチ切れた母親は公立の中学校に進学させられないと
クリスチャン系の私学に通わせるんだけど、そこでもほぼ毎日のように校長室に呼び出されて説教されまくる日々。
こー言っちゃ何だが3人が3人共「どうしようもないクソガキ」の代表格みたいな扱いな訳ですわ。

更に言うと後に空軍に入隊するスペンサー・ストーン君はモデルガンを集めるのが趣味でサバゲー好きのミニタリーヲタ。
ぶっちゃけ…中学で仲良くなったアンソニー・サドラー君に自慢げにモデルガン並べて見せてるシーンを観て「コイツらがテロリストになる、っていう展開?」
ってガチで思ってたわ(苦笑)

でも不思議と憎めない3人組。
本作では3人の中でも特にスペンサー・ストーン君にスポットが当てられた作りになっていましたが、あんなに連日学校で呼び出し食らって叱られまくって
教師からも邪険な扱い受けているのに、何故か彼は非常に真っ直ぐで「人の役に立ちたい」「いつか人助けをしたい」と神様に祈るような子供だったりする。
デブデブだったスペンサー君がアンソニー君に「そんな体じゃー君は軍隊に入れないよー」と指摘されて一念発起して猛烈に体作りを頑張るシーンなんて
ちょっとすげーなー…と感心してしまったわ。まだ劇場で観てる段階ではプロの役者さんが演じてるものだとばっかり思ってたから
「このスペンサー役の人すげーなー。何ていう役者さんなんだろ?後でフィルモグラフィ調べてみよーっと」って考えてたじゃんねw

学校でも軍隊でも決まり切った型があって、そこに全員きちんとハマるように指導する。それが「規律」というものだから。
それはそれで決して悪くない。いやむしろそれに従ってこその「学校」であり「軍隊」なんだと思う。
でも、そういう場所では落ちこぼれだったからこそ、いざという時に皆と一緒に逃げるんじゃなくて自分達の考えで自分達に出来る事をやればいいんだ、と
テロリストに立ち迎えたんだろうなー…と思いましたね。
まあ軍隊で散々訓練もしていて腕に覚えのあるのが2人もいたからこそ出来た、そしてたまたま運よくテロリストの持っていたガンの1発目が不発だった
という幸運も重なったからこそ取り押さえられた、というのもあったんだろうけど、でも彼らが従順な軍人だったらきっとこの事件は平和な解決には
ならなかったんじゃないか、と思わずにはいられません。

ただね、勘違いしたくないのは…彼らがADDだったから出来た事なんだ、だからADDの人は好き勝手やればいいんだ、という事ではないですよね。
一見落ちこぼれに見えても、自分の信念をきちんと持って信念を貫く為の最大限の努力を惜しみなく続けて生きて来たからこそ、
いざという時に自分の信念に従って勇気を持って行動が出来たのだ、という美談だと思うんですよ。
ロクに訓練もしていないヨボヨボジジイがヒョロッと出て行ってテロリストの前に立ち塞がったって意味ないですしねw
彼らは自分の「いつか人の役に立ちたい、人助けをしたい」という信念に基づいて常日頃から鍛錬を続けていたからこその行動な訳で。
そこは履き違えないで欲しいなーと思いますね。

本作、中盤以降3人のヨーロッパ旅行のシーンが結構長尺なんですが、コレは旅行好きさんは刺さると思うなー。
かくいう自分も本作に出てくるロケ地、ドイツ以外の国は一通り行っているので懐かしい風景てんこ盛りで観ていて楽しかったなぁ!
自分もパリ-アムス間の高速鉄道は往復で乗ったんですけどね、パリからアムスに向かってた時にスキポール駅で列車が止まってそこで全員下ろされましてね、
なんでも列車の故障だから全員降りろと。いやいや自分達アムステルダムまでの特急券(一等席)買ったんですけど?どーすれば?と聞いたら
シレッと「勝手に在来線にでも乗って行け」だってさ。ヲイこの特急券幾らしたと思ってんだテメーせめて払い戻ししろよタコが(怒)という思い出があります^^;

あ、ついつい話が脱線しちゃいました…まあ、そんな訳でロードムービーとしても個人的には充分楽しめましたね♪
でも旅行に興味ない&手に汗握るサスペンスめっちゃ期待してた!という方にはちょっと肩透かしな展開の作風かもしれません。ご愁傷様ですw
コメント
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