天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画】「あなたの旅立ち、綴ります」@12本目

2018年03月22日 | 映画感想
「あなたの旅立ち、綴ります」

往年の大女優シャーリー・マクレーンと今をときめくプリプリ女優アマンダ・セイフライドの初共演作。
更に、アマンダは本作で共演したトーマス・サドスキーと2017年に結婚しています。

あらすじ
大手広告代理店の創業者にして今は悠々自適の老婦人「ハリエット・ローラー(シャーリー・マクレーン)」はある日新聞の訃報記事に目を留め、
自分の死後に書かれる自分の訃報記事を事前に用意しようと思い立ち、代理店時代に懇意にしていた新聞社を訪ねて自分の訃報記事を依頼した。
訃報記事を専門に書いている記者の「アン・シャーマン(アマンダ・セイフライド)」はハリエットから渡された知人名簿を頼りに取材を進めるが
やり手で傲慢なワンマン社長だったハリエットの事を良く言う人は1人もおらず、作り上げた記事は散々な内容にしかならなかった。
自分を慕う者が1人もいなかった事に少なからず衝撃を受けたハリエットは、何とか良い訃報記事になるようにアンを巻き込んで動き出すのだが…

いわゆる「ほっこりふんわりヒューマン・コメディー@クライマックスは必ずホロリとさせる」という手合い。
いい話なんだけど…何と言うのか「いつかどこかで観た事のある話」という印象は否めない。
如何にも映画通の人が【最近のオススメ映画】を聞かれて「単館ロードショー系だからもしもタイミングが合えば…だけど小品の良作って感じで♪」
とか言いながら勧めて来そうな作品、って言うのかな。…なーんか自分で書いてて感じ悪い表現だな(苦笑)

全てを自分で仕切らないと気が済まない、と言うか自分の周囲は全部バカばっかりだと完全に見下して生きているやり手BBA(シャーリー・マクレーン)と
本当はエッセイストとして本を出したいという夢があってコツコツと書き溜めているものの、それを誰かに読ませる勇気も自信もなくて
日々新聞社で訃報記事を書いては溜息を付いて燻っている女子(アマンダ・セイフライド)が手に手を取って自分の人生を仕切り直すべく自分の心の
扉を自らの手で開け放って行く、という話。
2人の間に児童福祉施設に預けられている黒人の少女(頭の回転は速いがロクに躾を受けてないので大人に対するクチのきき方がなっちゃいないクソガキ)
がスパイスとして入り込んでいて、このクソガキがなかなかいい仕事をしています。

人生を仕切り直す…と書いたけど、よくよく観ていると「実はハリエットは最初から最後まで何も変わっていない」という事に気付く。
彼女自身のモノの考え方やポリシーは何一つブレる事はなく、ただその表現方法と言うか演出方法が間違っていた為に自分の真意が相手に伝わっていなかった、
もしくは素直に自分の本心を相手に伝えて来なかった為に誤解され易かった、という事だと思うんですね。
ハリエットは「女性は結婚したら家庭に入って子を産み育て、良妻賢母として夫にかしずいて生きる」のが当たり前だった時代に、男を押しのけて社会の第一戦で働き
周囲の冷たい視線を跳ね返して肩で風切って歩んで来た「元祖・キャリアウーマン」で、男社会でナメられないように仕事をして行こうとするとどうしても
虚勢を張る事になるし、態度や口調もも居丈高に成らざるを得なかった。
それが板に付いてしまうとなかなか軌道修正が効かなくなっちゃうんですね。周囲もまた「あの高慢ちきな女社長」っていう目で見てすっかりレッテル貼ってるから
もう今更猫なで声出したって誰の耳にも届かない。

その末期状態のBBAが今まで自分の周囲にいなかった…自分にズバズバ本音でぶつかって来てくれる女子とこしゃまくれたクソガキに出会った事で心が雪解けする。
アンがハリエットの家で古いLPレコードを見つけたのをきっかけに昔自分が大好きだった事を思い出して自らDJに売り込みに行く辺りから俄然ハリエットの
表情が変わって行ったのを感じましたね。笑顔がキラキラして表情が本当にキュートに変わって行きました。
まあここら辺の表情の演技って本当にシャーリー・マクレーン上手い。大女優の貫禄を見せつけられた感じです。

という訳で、本作DJシーンが結構多くて、そして楽曲の選曲がすっごくオシャレ!
本作のサウンドトラックCDとか発売してるのかな?調べてないんだけど…もしあったら買っちゃおうかしら♪

話は想像通りの方向に向かって行って、そしてお約束通りの結末に。
予定調和を崩さず王道ヒューマンドラマとして手堅い作りになっていると思います。
誰が見てもホッコリ出来ますね。ひねりがないからつまんない、という向きもあるかもしれませんが…この話でドンデンオチは流石に要らないよね(苦笑)


コメント
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