天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画】「リチャード・ジュエル」@5本目

2020年01月27日 | 映画感想
「リチャード・ジュエル」

クリント・イーストウッド監督最新作はアトランタオリンピック時に起こった爆破テロで冤罪を掛けられた実話を映画化。
アトランタオリンピックの時にそんな爆破テロあったっけ?全然記憶にないんだけど…とりあえず最近のイーストウッド監督は「実話の再現映画化」パターン一辺倒だな。
まあ何もない所から一から話を作り上げるよりも世間には面白いネタが転がってるのか、何より世の中には「事実は小説より奇なり」という言葉もある事ですしねw

あらすじ
1996年、アトランタで開催されたオリンピックで爆破テロ事件が発生する。警備員のリチャード・ジュエル(ポール・ウォルター・ハウザー)が爆弾の入ったバッグを発見したことで、多くの人々の命が救われた。だがFBIは、爆弾の第一発見者だということを理由に彼を容疑者として逮捕。リチャードを担当する弁護士のワトソン・ブライアント(サム・ロックウェル)が捜査に異議を唱える中、女性記者のキャシー・スクラッグス(オリヴィア・ワイルド)の記事をきっかけに容疑の報道は熱を帯びていく。(Yahoo!Movieから丸パク)

世の中なんやかんや言っても見た目は大事、というお話。^^;
いやマジでよ。実際ね、アメリカでは「貧困層ほど肥満体が多い」という統計結果が出ているし、アメリカの大手企業では「メタボは出世出来ない」とも言われている。
ハゲは本人の努力ではどうにも出来ない事だけど、体型に関しては完全に自己責任。自分の体型も管理出来ない人間に重要な仕事は任せられない、というのが米国式思考。
既に日本でも大手企業程この考えが浸透しつつありますよね。少なくとも一部上場企業なら社員のメタボ管理プログラムは実施されているでしょう?

そんな訳で本作の主人公「リチャード・ジュエル」氏は米国人なら誰もが「コイツ胡散臭いヤツ」「コイツなら爆弾テロやりかねない」と思わされる風貌と経歴。
言っちゃアレだけどジュエル氏ご本人にも多少なりとも問題がある。映画観ていて思ったけど、ちょっと発達障害とかADHD的な人?と思わされるフシがある。
正義感は強いんだけど所謂「融通の利かない人」「無駄に頑固な人」「場の空気全く読めない人」と言われるタイプで、それが理由で過去何度も仕事を解雇されている。
カスタマークレームも多い人物だったようで、でも確かに彼の言い分は間違っちゃーいないから周囲もイライラしながら対応しているのが見て取れる。
母親と2人暮らしの30代独身、彼女はいなくてゲイを疑われるレベル、貧困層の部類で学歴もそれほど良くはなさそうな?そしてあの風貌。
最低でもジュエル氏がこざっぱりとしていてスキニーでスタイルのいいイケメンだったら多分この冤罪事件は起こらなかっただろうとすら思えるのです。
実際、自作自演で事件を起こして自分がその火消しに回って英雄気取るアホが後を絶たない状況下でこの爆破テロ事件な訳で、FBIが多少勇み足になるのも分からなくもない。

本作の恐ろしいのはマスコミ…と言うか一部の記者が飛ばし記事で名を上げようとやらかしまくると火のない場所にも豪州火災レベルの被害が及んでしまうのだという事。
マスコミの偏向報道の恐ろしさは今の日本でもリアルに日々目にしている事ですが、本作を観たマスコミの中の人達はどういう気持ちになったんだろうか?聞いてみたいですね。
まあ、イマドキ「正義感を持って真実を大衆に正しく伝えたい」等と言う志を持って報道に携わっている人がどれほど世の中に存在しているのか甚だ疑問ですが(苦笑)、それでもその報道姿勢は単なる自己の名声の為だけなのか、視聴率が上がれば真実なんてどうでもいいと本気で思っているのか…思ってるのかな?(コラコラ
キャシー・ベイツ演じるリチャードのおかんが涙ながらに演説するシーンで最初に飛ばし記事を書いた女性記者が涙している姿は、きっとイーストウッド氏の「それでも報道に携わる者だったら最後の良心だけは持っていて欲しい」という願いでもあるのかな?と思いながらスクリーンを見ていました。

まあそんなこんなで…これはイーストウッド氏の作品の特徴でもあるのですが、本作も実に淡々と話が進んで行って最後の結末まで実にアッサリしている。
もうちょっとドラマティックな演出がいくらでも出来そうな感じなのに、敢えてそれを嫌ったかのように実に淡々としている。
それはもしかしたらイーストウッド氏が本作に出演している全ての立場の人達に対する心尽くしの誠意の結果なのかもしれないし、もしかしたら氏は敢えてドラマティックにしない事で本作を観た観客1人1人の性別や国、立場やバックボーンで本作から受ける影響がそれぞれ違ったものである事を期待しての演出なのかもしれないな、と思いました。

ま、そんな訳で私も本作を観て影響を多分に受けたので…だ、ダイエット頑張りますぅ~(号泣)
コメント
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