『ゴルコ13』連載40年超、休載なし。誰が巨匠の背後を襲えるか。波乱の少年時代。発想の秘密。経営戦略。教育論。血液型論。すべてを語りつくした決定版自伝・劇画論。
まったく、そのとおり。貸本作家から上京して劇画家として売り出す際に、最初から分業制を選択するなど、ビジョンとして(少なくとも彼にとっては)正解。
デューク東郷の名が、中学時代の恩師からとられているなど、ここでしか読めないネタも挿入してある。できうれば弟子筋の小池一夫との関係性などもふれてほしかったのだけれど……
おそらくゲラのチェックもさほどされていないと見えて(あるいは、持論を穏やかな表現に変えることもまかりならなかったか)、さいとうの本音がむき出しになっている。“語り下ろし”に近い出版形態だったのだろう。
強烈なマザコン(表紙に使われた写真の上の方にはお母さんの写真が飾ってあります。トリミングされてるけど)、手塚治虫への反発など、ある程度は隠そうとした形跡はあっても、それが成功していないあたり、笑えます。
ゴルゴ13については、数多くの情報提供者がいることは有名で、実は地元の公務員(の一種)にも該当者がいるらしい。そのあたりにも、もうちょっと突っこんだ説明があるとうれしかったなあ。
でも、ビッグコミックに連載されているのに、どうして小学館じゃない出版社からコミックが出ているのか不思議だったけど、この本でその疑問は氷解。リイド社ってさいとうの会社だったんだ。「無用ノ介」「バロム1」なんてタイトルに懐かしさを感じる方にはおすすめの本です。かなりクセの強い本なので覚悟して読んで。