ふたりの私塾の経営者がいる。ひとりはこの小説の主人公、広瀬淡窓。穏やかな知識人で人望もあり、入塾希望者がひきもきらない。もうひとりは大阪の、あの大塩平八郎で、世の誤りを正すために行動を起こすべきだと塾生を煽る。
葉室は広瀬の生き方(役人の介入にひたすら耐える。やまない雨はないと)が派手さはないけれども大塩の過激さを上回ると結論づけたいようだ。もちろんふたりはお互いを強く意識しあうのだけれど。
でもわたしはもうひとり、みんなに憎まれながら役人に協力する豪商の生き方が興味深かった。この人(広瀬の弟でもある)が実はいちばんしんどかったんじゃない?
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霖雨(りんう) 価格:¥ 1,785(税込) 発売日:2012-05-10 |