事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「42~世界を変えた男~」 (2013 WB)

2013-11-14 | 洋画

42 1945年、それまで“法律”ではなく“慣例”によって(だから強固に)メジャーリーグから排除されていた黒人選手。しかしブルックリン・ドジャースのGM、リッキー(ハリソン・フォード)は、ある意図をもってチームに黒人選手を入れようとする。

選ばれたのは黒人リーグで3割5分の打率を誇った若者……かの有名なジャッキー・ロビンソンのお話。なんかもう、いかにも感動させられそう。「ナチュラル」「フィールド・オブ・ドリームス」「マネーボール」など、野球映画にはさんざん泣かされてきた経験もあるし。で、号泣です。簡単な客。

戦勝にわき、まだドジャースの本拠地がブルックリンにあり、男は帽子をかぶり、女性は手袋を、そしてみんな聞き取りやすい英語を話した幸福な時代。しかしそれは同時に、白人専用のレストランやトイレが存在した、人種差別があからさまだった時代でもある。ジャッキーは

「やり返す勇気ではなく、やり返さない勇気を持て」

というリッキーの言葉どおり、プレーを通じてチーム、観客の偏見をはね返していく。

初めてドジャースのロッカールームに入り、そこに用意された自分のユニフォームを見つめるジャッキー。きっと裏返すと42という背番号にしみじみするんだよな、という予想どおりのベタな展開。そして予想どおりであるからこそ、めちゃめちゃに感動してしまった。フランチャイズのエベッツ・フィールドで、観客からの罵声と歓声にかこまれるシーンでは震えがきましたよ。

実話だから、あまりに劇的にならず、実際のスコアどおりに展開しているのだろう。だから逆に、第一打席の結果など、なるほどとうならされる。なぜリッキーが黒人選手を入団させようとしたかの本当の理由にも納得。「性犯罪特捜班」のステイブラー、クリストファー・メローニが、女関係の派手な監督を演じていてうれしい。

日本におけるアメリカの占領政策がうまくいったのは、野球のおかげではないかという説もある。民主主義を、わたしたちはベースボールで学んだ。心の底に野球が刻まれているからこそ、野球映画はもの悲しいのだろう。

そのベースボールを変えてくれたひとりの黒人のおかげで、黄色いイチローや黒田の活躍がある。野球好き必見。映画ファン必見!

コメント (2)
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